自身のルーツを見つめ直した最新作、ジャンルを超えた音楽性の解放

　かくして一気にスターダムへと駆け上ったジョルジャだったが、その分のプレッシャーや息苦しさも相当に大きかった。デビューに際し移住していたサウス・ロンドンから2021年に故郷のウォルソールへと戻り、よりプライベートで安心できる環境のもと再び音楽制作へと着手した彼女は、同年にEP『Be Right Back』をリリース。「ファンとの小さな待合室みたいな作品だった」（※1）と語る本作は内省的ながらもリラックスした雰囲気が全体を纏い、来るべき新作への期待はさらに高まった。

　そして2023年に発表された待望の新作タイトルは『falling or flying』。「落ちているのか飛んでいるのか（わからなかった）」という彼女の心境を綴った言葉の通り、アルバムには喜びと悲しみが同居し、デビュー以来の怒涛の時間を通じて成熟したジョルジャの人生が投影されている。

　世間の視線に晒される中で自分の意思表明をした「Try Me」～ポップロック調に弾ける「GO GO GO」など、同郷出身のプロダクションデュオ、Dame Dameとの共作による自由度を増したソングライティングがアルバムの大部分を担いつつ、ウィズキッドやバーナ・ボーイらを手がけるプロデューサーP2Jによる刺激的なビートに、レゲエやアフロビーツも混在。ジャンルや周りの声にとらわれない音楽表現が実現した傑作アルバムに仕上がった。

　またトライバルな先行ダンストラック「Little Things」は、UKジャングルの新星ニア・アーカイヴスによるリミックスやクリスタル・ウォーターズ「Gypsy Woman」とのマッシュアップも制作され、世界中のダンスフロアでヘビープレイ中。これまでも「On My Mind」やバーナ・ボーイを迎えた「Be Honest」など、アルバムには未収録ながら多くのクラブアンセムを残してきた彼女らしい展開だ。

　アルバムの勢いそのままに、長年共に活動するバンドメンバーと生演奏で同作を再構築した『falling or flying (Reimagined)』も発表。今回の来日公演では、いったいどのようなサウンドスケールの演奏が見られるのだろうか。アーティストとして大きな成長を遂げ、親密かつ解放的にステージで羽を広げる彼女の姿は必見だ。

※1：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001044.000055377.html

■公演情報
2024年10月22日（火）大阪・なんばHATCH
2024年10月23日（水）東京・豊洲PIT

■リリース情報
・『falling or flying (Deluxe)』
配信リンク：https://famm.orcd.co/fallingorflying-deluxe
・『falling or flying (reimagined)』
配信リンク：https://famm.orcd.co/fallingorflying-reimagined
・『falling or flying』
配信リンク：https://famm.orcd.co/fallingorflying

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