岩田剛典&若槻千夏、初MC番組『超越ハピネス』収録後インタビュー 人生の多様さを考えるきっかけづくりに

 三代目 J SOUL BROTHERS 岩田剛典と若槻千夏がMCを担当し、LiLiCoとアルコ&ピースの平子祐希をゲストに迎えた特番『超越ハピネス』が、NHK Eテレで9月26日に放送される。ダブルMCの鮮やかな組み合わせに心踊る本番組は、互いの人生を認め合うソウルメイト(番組では“超ハピメイト”)の体験談から人生の多様さをクリアに明るく考えるトークバラエティだ。

 今回は収録直後、番組MC初挑戦の岩田とNHKでは初MCとなる若槻にインタビュー。29歳で乳ガンを患った経験を書いた闘病記をきっかけに、かけがえのないパートナーとなった2人の力強い関係性を通じて考えたこと、さらにそこから感じた“超越ハピネス”な瞬間など、番組の見どころをたっぷりに語ってもらった。(編集部)

初MC番組の収録を終えた安堵感

――『超越ハピネス』の収録を見学させてもらいました。スタジオ内がカラフルな色彩で、終始和やかな雰囲気。ハピネスをおすそ分けされた気持ちになりました。岩田さんにとっては初のMC番組ですが、オファーが来たときの気持ちから教えてください。

岩田剛典(以下、岩田):「僕で大丈夫ですか!?」という驚きがまずありました。しかもNHKさんのトークバラエティ番組。扱うテーマが踏み込んだものということもあり、オファーに対して色々冷静になって考えてみました。

――今回の番組はソーシャルなテーマ性ですよね。

岩田:そうですね、お招きした超ハピメイトのお二人への質問やそれに対する自分の発言など、尚更センシティブに気を配らなければなと思いました。ですが実際に収録が始まると、超ハピメイトのお二人がとても明るく気さくな方たちで番組の雰囲気を決定づけてくれました。収録が終わり、想像以上にホッとしています。

――若槻さんにとってもEテレでは初のMC番組です。岩田さんとダブルMCを担当してどうでしたか?

若槻千夏(以下、若槻):私は普段からバラエティ番組などで雛壇に座っていますが、MCの方からトークを振られて喋る立場が圧倒的に多いです。そんな自分にNHKさんの番組MCのオファーが来たことに驚きました。収録が始まる前と終わった後での安堵感が凄まじい。

岩田:安堵感、ありますよね。

若槻:乾杯したいくらいですね(笑)。

岩田:アハハ。

岩田剛典

――お二人のこれまでの共演経験は?

岩田:他局のバラエティ番組では何度もあります。

若槻:以前は番宣でゲスト出演する岩ちゃん(岩田)との共演だったので、クロストークは今回が初めてでした。私たちMC二人の初手合わせでありつつ、超ハピメイトをお迎えしてお喋りするトーク番組です。蓋を開けてみなければ分からない部分が多かったです。打ち合わせではスタッフさんから「楽しんでやってください」と言っていただいたことで、一致団結して見えないゴールに向かって走りましょうという雰囲気になりました。演者だけが笑う世界とスタッフさんも一緒になって笑ってくれる番組世界では全く違うものです。そういう意味では制作側のスタッフの皆さんも楽しみながら作ってくれたことが、MCである私たち二人の安心感に繋がりました。

超ハピメイトとのお喋りを通じて「良いきっかけになる番組」

――番組では“超越した幸せ”を体現するソウルメイトの関係性が読み解かれます。今回登場した超ハピメイトは、29歳で乳がんを患った松さや香さんと、彼女が書いた闘病記『彼女失格 恋してるだとか、ガンだとか』を読んで、交際0日でプロポーズし、のちに夫となる北川雅史さんの一組です。若槻さんは『彼女失格』を読み込んだことも収録中にお話しされていましたが、実際に対面したお二人とのトークではどんな発見がありましたか?

若槻:『彼女失格』を読ませていただいた時点ですでにさや香さんの生き様から力強さが伝わってきました。実際にお会いした北川さんの言葉からもエネルギーを感じました。北川さんは『彼女失格』をこっそり読んだことで影響されたと仰っていましたが、北川さん自身も物凄い行動力がある方です。本当に似たもの同士。パートナーになるべくしてなったというか、自然と引き寄せられたのだなと思います。

岩田:無言でも愛が伝わってくる強い関係性ですよね。北川さんがさや香さんのことを想っているのがひしひしと伝わってきて、スタジオの全員がほっこりしました。さや香さんが何度も仰っていた「口では何とでも言うけど、全て行動に出る」が、個人的にはリアルだなと思いました。行動の部分では彼女に追いつけ追い越せの勢いでないと置いていかれてしまうのではないかと感じた北川さんが、出会いから現在に至るまで一筋にさや香さんのことを想い続けている。トークの節々にそれを感じ、とても素敵な関係性を垣間見ることができました。

若槻千夏

――さや香さんが闘病後に客室乗務員になったことも驚きでした。

岩田:さや香さんはサラッと仰ってますけど、本当にすごいことですからね。

若槻:元々は編集の仕事をやっていた方です。闘病生活を経て以前と同じように社会で働けるという自信をつけた上で選んだのがCAのお仕事だったんです。健康状態のリスクを自分で感じながらもどんどん夢を叶え、さらに今また大学で勉強してどこまでも上り詰めていく。パワフルな生き方は、勉強になることばかりでした。VTRには収まりきらないですよ。

――その後は行政書士の資格を取るために夫婦で競って勉強して、北川さんの方が先に取得するという。

岩田:そうですよね、お二人とも仕事をしながらだから尚更すごい。

――似たもの同士の強固な関係性に感服します。そうした「超越ハピネス」な関係性は言葉の意味として多様性などと関連してくると思うのですが、番組を通じて多様な在り方は具体的に見えてきましたか?

岩田:自分たちがこうして現代を生きている中でスポットライトが当たらない部分、普段生活の中では考えることがないような状況にいる方々はたくさんいらっしゃいます。そういう方々に光を当ててお話をしていただく意義があると僕は思います。だからと言って肩肘張ってご覧いただくというよりは、トークバラエティとしてラフな気持ちで一緒に笑って楽しんでいただきたいなという気持ちも同時にあり、そうして結果的に広く視聴者の方々に届いて知っていただく。良いきっかけになる番組だと思います。

――確かに最初のきっかけが重要ですね。若槻さんはどうですか?

若槻:「多様性」という言葉を最近よく耳にしますが、それは意識しているから出てきている言葉だと思うんです。理想は多様性と言わなくなる時代が来ること。さや香さんは病気について辛かった時期の話なども含めてお話ししてくださいましたが、不思議と肩肘を張らないトーク経験だったなと収録後に感じました。こちらが勉強させてもらいながらお喋りして、情報を共有し合い、様々な生き方についてそれぞれの人生プランを発表し合う。トークを通じて気づいたら「あ、これが多様性か」となればいいなと思います。

――その意味でも今回超ハピメイトのお二人にどれだけ赤裸々に語ってもらえるかがポイントだと思うのですが、話を聞く側として話しやすい環境づくりで意識したことはありますか?

岩田:トーク中の柔らかい雰囲気作りを心がけながら、その合間にちょっとふざけたりもしなきゃと、収録前からどうしようかと考えていました。ところが僕が考える以前に、さや香さんと北川さんが自然と雰囲気を作ってくださる。そんなお二人に対して僕は真隣に座っていたので、初MCの緊張を敏感に感じながらも、しっかり目を見て話を聞くことを意識していました。

若槻:私は身体を少し斜めにすることを意識しました(笑)。出演者全員がまっすぐ向いているとテレビ感が強くなるからです。普通にお喋りする感覚を出すために他の番組でもやっていることです。逆に自分が話す立場のときのことを考えるなら、相槌してもらうと話しやすい。ただ聞くというより、できるだけ合いの手を入れることを心がけました。

岩田:わかります。

――さや香さんと北川さんの左右にMCとゲストのLiLiCoさんと平子祐希さんが座る配置でした。ゲストのお二人のアシストも素晴らしかったですね。

岩田:助け舟をたくさん出していただき、収録中は大船に乗ったつもりでいました。

若槻:今回の超ハピメイトはご夫婦で、岩ちゃんと平子さんの男性目線とLiLiCoさんと私の女性目線がお互いに交換できたことも面白さのポイントです。

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