YOASOBI、Official髭男dism、Mrs. GREEN APPLE、菅田将暉、ビッケブランカ、羊文学……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はYOASOBI「UNDEAD」、Official髭男dism「Sharon」、Mrs. GREEN APPLE「アポロドロス」、菅田将暉「二つの彗星」、ビッケブランカ「白夜」、羊文学「Burning」の6作品をピックアップした。(編集部)

YOASOBI「UNDEAD」

 〈物語〉シリーズ最新作のアニメ『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』主題歌に起用されたYOASOBIの新曲「UNDEAD」の原作は、西尾維新の書き下ろしの“短々編”小説「なでこパスト」「しのぶフューチャー」。前者は千石撫子、後者は忍野忍(どちらも〈物語〉シリーズのキャラクター)がソファに横たわり、とある人物にカウンセリングを受けているという内容だ。それを受けて制作された「UNDEAD」は〈UNHAPPY?/悩める人の子よ〉というフレーズとともに疾走を始めるダンサブルな楽曲。身体の深い部分にまで届くようなキック&ベース、煌びやかにして鋭利なシンセのフレーズが絡み合うトラック、初期のボカロ音楽を想起させる無機質っぽいメロディ、〈目指せハッピーエンド〉というフレーズが絶妙なバランスで融合したこの曲は、YOASOBIの留まることのない進化ぶりを証明している。(森)

『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』愚物語&撫物語 PV

Official髭男dism「Sharon」

Official髭男dism「Sharon」

 約3年ぶりのオリジナルアルバム『Rejoice』(7月24日リリース)にも収録される「Sharon」は、壮大なスケールと緻密なアレンジメントが共存するミディアムロックチューンだ。まず印象に残るのは、〈「ただいま、おかえり」のくだりがやけに響く〉というフレーズに象徴される、家(帰る場所)や“待ってくれている人”につながる歌詞。仕事と家庭の両立というテーマを下敷きにしながら、リスナーそれぞれが自分の大切な場所・人と重ねられる、温かさと包容力を兼ね備えた楽曲と言えるだろう。メンバー全員が30代になり、こういう曲に説得力を持たせられるようになったのか……としみじみしてしまう。生々しいライブ感を伴った演奏の軸を担う、松浦匡希(Dr)の大らかなビートにも注目だ。(森)

Mrs. GREEN APPLE「アポロドロス」

Mrs. GREEN APPLE「アポロドロス」

 今夏のパリ2024オリンピック中継にも使用される「テレビ朝日系列 2024スポーツ応援ソング」書き下ろし楽曲。エチュードにも似たピアノと、豪快にはじけるバンドサウンド、同時に花開く豪華なストリングス。最初に耳に飛び込んでくる三つの要素が、区切られた円形の舞台がくるくる回るように入れ替わる、そのアレンジが実に面白い曲だ。最初のピアノは個人練習に励んだ日々を、バンドの音は本番に向かっていく勇気を、さらにストリングスは会場を包む熱気を喚起させるもの。編曲者の名前は特に記されておらず、大森元貴(Vo/Gt)の中には最初から完成形のイメージがあったのだろう。作曲能力や歌唱力とは似て非なる、めくるめくアレンジャーとしての才気が溢れている。(石井)

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