春らしい気候になってきましたね。K-POPシーンでも春をテーマにした歌はたくさんリリースされてきましたが、今や世界中のいたるところで愛されるジャンルになったこともあり、最近はどんな時期でも聴ける曲のほうがヒットする傾向が強まった気がします。そんなわけで今回は、春らしいというよりも新年度にぴったりな夢と希望に満ちたK-POPの最新ナンバーをセレクトしてみました。

NCT WISH「WISH (Korean Ver.)」

　驚異的な勢いで人気を伸ばしている彼らですが、NCTの最後のグループという話題性が仮になかったとしても十分魅力的なグループであることが、このデビュー曲で証明されたのではないでしょうか。昨年リリースしたプレデビュー曲「Hands Up」での力強く躍動感あふれるスタイルも素晴らしかったですが、このデビュー曲ではさらにスケールアップした姿を見せてくれました。パフォーマンスもビジュアルも洗練度が増しただけでなく、サウンド面もパワーアップ。70年代に活躍したジャズコーラスグループ、The Singers Unlimitedの「Love Is Here to Stay」をサンプリングした浮遊感のあるイントロからアイドルのオーラ全開の爽やかなメロディに切り替わるあたり、そのわずか20秒を聴いただけでも他のライバルたちとは違うオーラを感じさせてくれます。

ILLIT「Magnetic」

　“K-POP第5世代の注目株”と言えば、真っ先にこのガールグループを選びます。3月下旬にデビューしてからあっという間にスターダムへ。BTSを筆頭に数多くのビッグネームが所属するHYBEが手掛けた新人なので、登場する前からクオリティが高いのは分かっていましたが、これほどハイレベルだとは思いませんでした。サウンドは一昔前のエレクトロポップのようで、フューチャーファンク風のムードもある仕上がり。そこに可愛らしくもキレのいいパフォーマンスを加えて、早くも独自の世界を作ることに成功しています。すでに世界中でヒットしているNewJeans的なテイストもあるグループなので、海外でもかなり受けるはず。今後の活動に期待せずにはいられません！

n.SSign「FUNK JAM」

　韓国のダンスポップではめずらしくジャズ＆フュージョン系のコードを多用。それだけで十分に耳を引くにもかかわらず、粋で軽やかなラップをはじめ、ファルセットが際立った美しいボーカルと清潔感のあるコーラスをパズルのように組み合わせたメロディラインにも感動してしまいました。自信を持っておすすめしたい……と、ベテランの音楽ライターらしく書きたいところですが、実はこの曲は、SNSで知りました。キャリアがそれなりにあっても、リスナーのみなさんのおすすめもちゃんと聴かないとダメだと痛感した次第です。