J.Tajor「Like I Do」、TREASUREらダンス動画でチャートイン　洗練された滑らかなグルーヴ

　「Like I Do」はオーガニックな趣きもある、音数の少ないトラックが特徴のミディアムチューン。ミディアムチューンながら、リズムをはっきり出した洗練された滑らかなグルーヴのトラックは、90年代後半～2000年代前半にトレンドとなったR&Bの一角“スロウジャム”を彷彿とさせる。随所にメロウなフロウを用いながらも、短いフレーズを繰り返すメロディを重ね、ラップ的なフロウによって、柔らかな歌声を印象づける、J.Tajorのボーカルアプローチも耳を惹く。フレーズ最後の母音を早く切り上げることが多く、そこからリズム感を重視して歌っているのがわかるが、逆にフレーズ最初の一音や途中の母音で様々なニュアンスを出していて、曲に表情を添えている。母音を切り上げているのに、グルーヴは切らさず進行させる手腕はお見事。ダン！と地面を蹴るのではなく、トンと地面にタッチする軽快さ、柔らかく滑らかなバウンシーさが、少し甘めのシルキーな歌声とマッチして、何度も繰り返し聴きたくなる中毒性を持っている。個人的には、声質だけだったらシティソウルのようだが、そこをほとんど感じさせない、声質とトラックのマッチングに最も驚いたし、とても刺激的だった。

　J.Tajorの他の楽曲も執筆にあたって聴いてみたが、どの曲もハイクオリティで驚いた。気に入った楽曲から、即座にそのアーティストの楽曲を掘り下げることができる。ここもバイラルチャート、もっと言ってしまえばサブスクリプション音楽配信サービスのいいところだと思う。

※1：https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-01-31