Spotify、2023年年間ランキング分析 アニメソング以外にも広がる海外ヒットの道筋
Lampの躍進と、XGの北米〜南米進出
しかし、こうしたSNSのバイラルヒットは、突発的かつ偶発的な要素も大きい。アーティスト側はそれを待つことしかできないのだろうか。そこでヒントとなるのが、【海外で最も再生された国内アーティスト】の11位にランクインしたLampである。
2000年に結成された3人組バンド・Lampは、日本でもコアな音楽ファンにしか知られていない存在であったが、その音楽の独自性とクオリティの高さから、近年ネット上の口コミにより海外の音楽ファンのあいだで知名度を上げていた。そしてここ1〜2年で楽曲がTikTokで使用されたことで海外人気が爆発的に上昇した。だが、Lampは2017年の段階ですでにアジアツアーを敢行し、2018年にも同様にアジアへ渡っている。こうした地道な海外活動が国外人気を獲得する一助になったと考えられる。要するに、バズの前段階として楽曲が使用されやすい状況が整っていたのだ。確かな音楽性により広がった口コミの力と、積極的な海外でのライブ活動が、ネット上のバズに結実したと言える。決して単なる偶然で獲得した人気ではないのだ。
こうした流れとは一線を画すのが、【海外で最も再生された国内アーティスト】で3位にランクインしたXGである。
XGは【海外で最も再生された国内アーティストの楽曲】では6位に「SHOOTING STAR」、7位に「LEFT RIGHT」を送り込んでいる。加えて【アメリカで最も再生された国内アーティスト楽曲】、【ブラジルで最も再生された国内アーティスト楽曲】の両ランキングでトップ5入り。アジアよりも北米〜南米での人気が高い。
XGは昨年3月にデビューした日本人7人組ガールズグループだが、拠点は韓国で、育成システムもK-POP式という国境を感じさせない次世代スタイルで活動している。人気の核となっているのは、誰もが一目見ただけで驚くような、ずば抜けたパフォーマンススキルだ。そして、韓国人の父親と日本人の母親を持ち、アメリカ生まれ・韓国育ちというボーダーレスなセンスを持つプロデューサーのJAKOPS(SIMON)の存在も大きい。楽曲はほとんど英語で、ハイレベルな歌唱とダンスで世界を魅了している。
アニメ主題歌として国内外で覇権を握ったYOASOBI、バイラルヒットから海外リスナーが増加した藤井 風、K-POP式で北米〜南米人気を勝ち取ったXG。【海外で最も再生された国内アーティスト】のトップ3には、奇しくもまったく異なる方法論で海外人気を獲得した3組が並んだ。今後もこうした流れに続くアーティストが現れるのか、はたまた独自の新しい活動スタイルで突破口を見出すアーティストが現れるのか。2024年の音楽シーンの動向にも注目したい。
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