SIX LOUNGE「リカ」なぜ若者から支持される? 心を掴む歌声や考察しがいのある歌詞に注目
SIX LOUNGEの「リカ」がバイラルヒット中だ。本曲は2016年にリリースされたインディーズアルバム『東雲』の収録曲で、ストリーミング配信は行なわれていなかった。つまり知る人ぞ知る隠れた名曲だったわけだが、今年の3月、『Love Music』(フジテレビ系)にてaikoが「すごい!と思った恋愛ソングの歌詞」として「リカ」を紹介。それから口コミやSNSでバンドのファン以外にも楽曲が広まり、TikTokではライブ音源を使用した動画が1カ月の間に1500本以上も投稿されたほど。大反響を受け、今年8月には待望の再録バージョンも配信リリースされ、9月20日にリリースされた最新アルバム『FANFARE』の初回生産限定盤CDにも収録されることとなった。
そんな「リカ」の人気は、まだまだ続いている。たとえば、「2023年秋の最新トレンド」をテーマに、流行に敏感な高校生男女に対して行なったアンケート調査によると、「今一番好きな曲は?」の中で、Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」、JUNG KOOK & Latto「Seven」に次いで「リカ」が3位タイにランクイン。世界中で爆発的人気を誇るNewJeansの「ETA」と同位となった(※1)。さらに、Billboard JAPAN Heatseekers Songs(新人アーティストチャート)ではウィークリーランキング4週連続3位を獲得(※2/9月27日付から10月18日付)。瞬間風速的な流行ではなく、着実にリスナーの心を掴んでいると言えるだろう。
バイラルヒットの要因のひとつとも言えるTikTokでは、弾き語りカバー動画が多数投稿され、suga/esや門脇更紗といったアーティストたちも投稿している。オリジナルの振り付けを用いた踊ってみた動画や何気ない日常動画など、幅広い動画に引用されているのも特徴的だ。
aikoがレコメンドしたことからもわかるように、「リカ」がこれほどまで聴かれているポイントのひとつは歌詞だろう。ゆったりとしたメロディと、温かみのあるヤマグチユウモリ(Gt/Vo)の歌声で歌われる〈君だけは幸せにさせないよ〉〈一緒に地獄をみよう〉〈悪魔になった僕を愛してくれるかい?〉といった狂愛を感じさせる歌詞が胸に響く。それを踏まえると、〈リカ〉という名前を呼びかけるパートにさえも狂気を感じてくるから不思議だ。
さらに『FANFARE』がリリースされた9月20日には、イラストレーターのますだみくが監督とイラストを担当したMVが公開され、1カ月ほどで170万回以上の再生数を記録している(11月2日時点)。コメント欄では「歪んだ愛の歌かと思ったら純愛だった」「アザがあるのはリカじゃなくて男の方?」など曲に対するさまざまな考察が繰り広げられている。また「流行ってるから聴いてみたらめちゃくちゃ良くて好きになった」といった声も見られ、着実に新規リスナーを獲得していることがわかる。