Chilli Beans.「I like you」

　ドラマ『時をかけるな、恋人たち』（カンテレ・フジテレビ系）の主題歌となった今回の新曲「I like you」を聴いて真っ先に驚かされたのが、ベッドルームミュージック風のミニマルなサウンドデザインだった。彼女たちの多種多様なディスコグラフィのなかでも、これほどまでに大きくバンドサウンドが後景に退いた楽曲は稀であり、今の自分たちにならどんなサウンドにも挑戦できるというメンバーの野心と確信を感じてならない。そして今回の楽曲を通してあらためて浮き彫りになるのは、Chilli Beans.が誇る卓越したメロディセンスであり、豊かな包容力と温かさを感じさせるそのメロディは、時おり高音域に移行するフックを含めてポップな魅力で溢れている。今回の新曲について、バンドは「生きてたら色んな事が沢山あるけど、 君の生きてる日常が好きだよ 君の全部を見守ってるよって ドラマと一緒にこの曲を通しても、そーゅぅものを 伝えられたらぃぃなと思います」とコメントしている。まるで親友が優しく語りかけてくれているような親密さを感じさせる同曲は、ドラマの主題歌という文脈を超えて、たくさんの人の日々の生活を彩るポップソングになっていくと思う。

PEOPLE 1「ドキドキする」

　ひとつ前に紹介したChilli Beans.の新曲と共に、現在放送中のドラマ『時をかけるな、恋人たち』をオープニング曲として彩っている一曲。オープニング映像で聴くことができるのはごく一部であるが、第1話のオンエアを観た時から、PEOPLE 1節が炸裂したパワフルなメロディがずっと頭から離れなかった。そして、配信リリースされた同曲をフルで聴いてまず驚かされたのは、オープニング映像に用いられている部分は、曲のサビではなく歌い出しに過ぎなかったということで、そこからどんどん豪快な広がりをみせていく展開に痺れた。1番と比べて、2番は随所にサウンドや歌い回しのアレンジが施されており、また歌謡テイスト強めの歌メロがグッと前面に出るCメロや、ラストのサビにおける高らかなファルセットも強烈なインパクトをもたらす。随所に遊び心や実験精神が詰まった自由奔放な一曲ではありつつ、総体としては、しっかりとポップな佇まいをキープしている点はさすがで、この曲によってライブのフロアが熱狂する光景がはっきりと想像できる。