s**t kingz、“見るバム”として作品を残す意義 三浦大知とのコラボやメンバープロデュース曲も収めた『踊救急箱』を語る

それぞれがs**t kingzのために作ったメンバープロデュース曲

――なるほど。そして、「No End」以外の楽曲は皆さんお一人ずつプロデュースをされています。

kazuki:僕はLEO(ALI)くんとのコラボ楽曲「KID feat. LEO (ALI)」を担当しました。実は、LEOくんとは曲が完成した後に初めて会って喋ったんです。TAKU(INOUE)さんとはガッツリ話をして、僕の素人発言をミュージシャンとして上手く汲み取っていただきました。結果、最高な楽曲ができました。

KID feat. LEO (ALI) / s**t kingz

――shojiさんはMaLさん、ACHARUさん、DREAD MCさんとの「Get on the floor feat. MaL, ACHARU & DREAD MC」。

Get on the floor feat. MaL, ACHARU & DREAD MC / s**t kingz

shoji:まず、どんな楽曲を作るか決める時に、1曲で全ての体力を使い果たすような踊りができる曲を作ろうと考えました。曲調はどうしようかなと思ったのですが、最近自分が聴いているプレイリストを見るとほとんどアフリカの曲だったんです。なのでそういう要素を感じられるものがいいな、と。それをMaLさんにお願いしてトラックメイクをしてもらっていく中で、「どの声が好き?」っていろんなアーティストの歌を送ってもらって。どの声が入ったら面白いかなと考えながら聴いて、「この方で」ってお願いをしたら「その人、イギリスの人だから戻しに時間がかかるかも」って(笑)。でも結果、どストレートに好みの曲ができたので幸せです。

――DREAD MCさんの声ですね。決め手は何だったのでしょうか?

shoji:彼の声を聴いた時に、思わず体が動いちゃったんですよ。ちょっとしたフェイクにも心が突き動かされたというか。もっと低音ボイスの方もいらっしゃったんですけど、小さくはノれるものの激しくは動けなかったんですね。この曲はとにかく激しく踊りたかったので、一番突き動かされて激しく踊れる曲になりそうなDREAD MCさんを選ばせていただきました。

Oguri:え、女の人の声じゃなくて? 男性の声入ってたっけ? ダンスに必死で音楽聴けてなかったのかも(笑)。

shoji:入ってるよ! 俺とOguriが2人で踊っているところとか。女性はACHARUさんっていう日本の方。

kazuki:プロデュースってそこがいいよね。いい意味で我関せず、っていうか(笑)。s**t kingzって4人で作るのが当たり前で、1人がs**t kingzのために作ることがなかったからね。だから振りもshojiくんがアシスタントと作ったものを僕らが教えてもらうだけ。

――新しいですね。

shoji:そうなんです。で、kazukiにはずっと「shojiくん、ここのフロアできているところ1回も見たことない」って言われ続けました(笑)。

kazuki:最後のめっちゃ疲れたタイミングでちょっと難しいフロアが入ってるんですよ。でも、shojiくんができているのを1回も見たことがないから正解がわからない!

shoji:(笑)。人生、チャレンジが大切だから!

NOPPO:すごい才能だよね。自分のフィジカルを上回る振りを作れるって。想像できることは全て実現できる、みたいな名言があるけど、違うんです。彼は想像できるけど実現できない(笑)!

shoji:みんなが実現してくれるので大丈夫。ライブで披露する時はぜひ僕に注目してほしいです。成功しているはずなので!

――『踊ピポ』や武道館公演に行く方は要チェックですね。Oguriさんは渡辺大知さんとの「Bright feat. 渡辺大知」。

Bright feat. 渡辺大知 / s**t kingz

Oguri:渡辺大知くんとはたくさんお話しました。曲のテーマが「負け」なんですけど、s**t kingzの成り立ちや僕のダンス人生もたくさんお話しして、イメージを固めてくれて。元々渡辺くんは黒猫チェルシーで音楽活動をしていましたが、解散後しばらく音楽をやっていない時にオーダーをしたので最初は戸惑いもあったみたいなんですが話していくうちに決心してくれました。完成までに2〜3回会ったかな。事務所で打ち合わせをして、その後お茶して、最終的には飲みに行って(笑)。電話もしましたね。そんな感じでたくさんのやり取りをして生まれた曲です。

――テーマの「負け」は元々決めていたのですか?

Oguri:そうですね。負けを全身で受け止めている姿って素敵だなと思っていて、その上で先に進める人になりたいんですよ。それを作品にできたらと思ってテーマを決めました。ダンスも他の3人が普段やらないようなダンスにしたかったんです。なので、4人で踊ってないんですよ。

――たしかに1人ずつで完結していますね。渡辺さんとのやり取りの中で新しく生まれたものもありそうです。

Oguri:最初、渡辺くんがギター1本で歌っているデモ曲を送ってきてくれたんですね。それがめちゃくちゃ良くて。そこからアレンジャーさんがビートを足してくれたんですけど、ちょっと美しすぎたんです。「負け」というテーマですけど、エモを強くしすぎたくなかったというか、感動的にしたいわけじゃなかったんですよね。なんなら映像もクスッとしてしまうような抜け感はほしかったんですね。

shoji:たしかにちょっとクスッとくるかもね。

Oguri:だからしっかりビートがあったり、フワッと包み込まれすぎたくなくて。もっとがむしゃらな感じがいいなと思って今のアレンジに変更していただきました。そこからさらに最後のミックス作業が終わったものを聴いた時に「ここのバランスをちょっとイジったらどうでしょう」って僕がほしがってしまって。どうしてもダンサー目線で曲を聴いちゃうんですよね。ビートがあったり、低音が目立ってたり、ギターを掻き鳴らしていたりしたほうが踊り的には当てやすいので。でもミュージシャンとしての渡辺くんにはそのミックスに確固たるこだわりがあったんです。そこで「1回飲みにいきましょう」ってなって(笑)。とことんお話をした上で、ミュージシャンの意見を優先したいと思えたので、当初のミックスで行くことになりました。

――たしかにダンサー目線とアーティスト目線だと微妙な差がありますよね。

Oguri:そうなんです。ダンサーとしての自分は濃い味をほしがっちゃうんです。最初から最後まで濃い味。でも、最初は薄口で入って最終的に濃い味になるバランスがいいと気づけたので、今の形に大満足です。

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