パフォーマンスもバラエティも見返す度に発見がある

　もうすぐ200本にも届く『WESTube』の動画たち。それを人気順に並べ替えてみると、トップにくるのが「POWER」のMV（YouTube Ver.）だ。今年3月1日に発売された9thアルバム『POWER』のリード曲で〈正解も不正解も自分次第さ〉〈生きてくだけで まずは合格だぜ？〉と力強く歌ってくれる応援ソング。その説得力のある歌声を支えているのは、一人ひとりが持つ歌唱力、いや、表現力の高さだろう。こぶしを効かせてアクセントをつけたり、透き通るようなファルセットを響かせたり、息の合ったハモリで聴かせたり……と、細かな技を感じる場面が多い。ライブ動画を見ると、歌いこまれたからこその進化を発見できるのも大きな魅力だ。

　「POWER」の次に視聴されているMV「むちゃくちゃなフォーム」も必見だ。重岡が作詞作曲を手掛け、大サビに向けてメンバーがソロで歌い繋いでいくというアイドルグループとしては攻めた歌割りだが、それだけ1人ひとりの歌声がクリアに聴ける貴重な楽曲。歌い出しでスッとその歌の世界観に誘われ、サビに向けてグッと盛り上げていく。MVを鑑賞しているとまるで1本のドラマや映画を観た気分になるほど、現実世界を離れて歌に集中していることに気づくはずだ。

　確かな技術がある。そして、それ以上に歌を届けようというパッションを感じる。その熱量が個性の異なる7人それぞれから同じくらい熱く感じられるから、観ているこちらまで心が熱を帯びてくるのだろう。それはバラエティ系の動画でも言えること。

　数々のMV動画を抑えて人気順で2番目の「【みんなで朝日を見に行こう旅】小瀧望の運転はやばいて〜01〜」では、プライベートのようにドライブ旅行に出かける7人の様子が映し出される。ワチャワチャとテンポのよい掛け合い。それを支えているのは、彼らが培ってきたバラエティのテクニックだ。

　中間淳太の座る位置を巡っての助手席じゃんけん大会に、神山智洋のさけるグミをどう食べるかクイズなど、すぐさまそれぞれにスポットライトが当たるように話を振っていく。物理的に後ろのシートにライトが当たらないところにも気を遣いつつ、ホラー的な映りを取り立てて笑いに昇華させるのもさすがだ。

　また、それ以上にこの時間を楽しもうという意気込み、メンバーを尊重しているからこその微笑ましいやりとりに気づけたときには幸福感にも包まれる。例えば、メンバーのために買い出しをした桐山が、一人ひとりに好きそうなお菓子を買ってきたとき。藤井流星に「好き？」と確認しているのだが「好きよ〜」と返していた。そんな字幕にもなっていないくらいさりげないちょっとした会話だけれど、普段からいいコミュニケーションが取れているのだとわかって心がほっこりする。

　動画の終盤、運転していた小瀧が道を間違えて全員で大爆笑した流れは、ジャニーズWESTらしさの極みとも言える展開だった。東京駅の駐車場へと続く道に降りてしまった小瀧に「新幹線で行くんかい！」とツッコむ藤井、「新幹線で行くよ〜」とノってみせる桐山、そして「大丈夫大丈夫！　まっすぐ行ったらまた合流できるから」と最後はフォローする神山。

　「お前何やってんねん」と言いながらも、誰もがその予想外のルートに突入したことそのものを楽しんでいる。そんな7人の姿に、どんなに回り道をしたとしても、それを楽しむことができれば、全部正解だったと言えるのではないかと思えた。

応援ソングを地で行くジャニーズWESTの生き様

　生きていれば、誰しもがカッコ悪い瞬間がある。一発でうまくいかないこともある。でも、それさえもまるごと全部受け止めて、肯定してくれる。ジャニーズWESTが歌う楽曲たちのように。彼ら自身もまた『WESTube』でいろんな姿を見せながら、彼らが歩む道のりをすべて正解にしていってくれるのだろう。

　執筆時点での最新動画「【９バツ鬼ごっこやってみた！】チックショー!!!!!!!」でも7人揃った姿を見せているジャニーズWEST。個々の活躍もめざましく、忙しさを極めている中で、7人で集まる時間を大事にしていることが伝わってくるのも、この『WESTube』の良さ。ぜひとも、7人が持つ確かなスキルを、そしてその技術力にも勝る仲の良さを伝えてくれる『WESTube』がこの先も長く続きますように。さらに、ずっと開き続けている入口に、より多くの人が入ってきてくれることを願ってやまない。