OZROSAURUSとKREVAは今も火花を飛ばし合っている ビーフを経たコラボレーションが持つ“和解以上の意味”
今年、盛り上がりを見せたもう一つの共演といえば、tha BOSS「STARTING OVER feat. Mummy-D」だろう。かつてのTHA BLUE HERBとRHYMESTERのビーフ関係を超え、お互いに歩み寄る、いわば感傷的な楽曲と言える。それぞれが長いキャリアの先で、シーンの中で共有しているものを確かに認め合い、やり取りしながら記憶を辿る仕草は、非常に感動的なものである。
それに対して「Players’ Player」の苛烈さは、感傷性を排しながら、それぞれのスタンスをぶつけ合うような楽曲になっている。お互いが高みに登っていき合流するが、その道のりは違うように見える。
〈地図に無い道で行く同じ山の頂上まで〉
何よりも美しいところは、そういった2人のスタンスを屈託なく貫きながらも、楽曲内ではそれぞれの思想を互いに受け止めているところだろう。常に挑戦者であり続ける双方に対し、リスペクトを示しながら、それぞれの孤独も共有する。tha BOSS「STARTING OVER feat. Mummy-D」の序盤でセリフがサンプリングされている映画『ヒート』(1995年)のロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ的な関係性とでも言おうか。
〈ずっとここ最前線ライバルいない全然〉
〈それが故の孤独安定なんて夢の如く〉
クライマックスにおいてMACCHOのヴァースを受けKREVAがラインを紡ぐ様。あるいはそれぞれが、過剰なほどに細かく押韻を刻み畳み掛ける様。あるいはこの合流の背景にBACHLOGICのビートがある様。全てにおいて立体的であるこの曲が見せる、ビーフの先の景色は、我々のストーリーへの欲望に、高い水準で、ポジティブに応えるものである。
ただの和解ではない。あくまでいまだにぶつかり合っているのだろう。何よりも高い場所で。
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