さらに話題が公演中の掛け声に移ると、「僕すごい叫びましたよ、前。東京ドーム（SMAPのコンサート）で。“慎吾ー！　慎吾ー！！”みたいな。チラチラチラチラ僕のことを見てくれたような気がしたんですけどね」と香取の顔をうかがう。もちろん、抜群の声量を誇る中村の声はしっかり届いていたようだ。

　だが、香取は「もう本当、見ないようにしてましたよ」とバッサリ。「だって明らかに浮いて“うぉーい！うぉーい！”って（笑）」と、そのエネルギッシュな応援スタイルは周りのお客さんも圧倒されるほどだったそうなのだ。

　そんな血管が浮き出るような中村の表情が目に見える思い出話を聞きながら、歌舞伎ではそんな状態を隈取として表現されるのだという。赤の隈取は正義、青は悪、茶色は人間以外、と「へぇ〜」と言いたくなる豆知識が次々と飛び出す。香取も「この隈取なのに、シーンとして“俺さ、もう疲れたんだ……”ってそういう芝居はないんですか？」と率直な質問を投げかけ、中村も「平常時（の演技は）隈取ないね」と気さくに答えていく姿から、どんどん歌舞伎への敷居の高さが取り除かれていく。

　他にも手の仕草ひとつで年齢が変わって見える芝居のポイントなどを聞くにつれて、徐々に身近に感じられていく歌舞伎。しかも、今回中村たちが挑む新作歌舞伎は名作ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの人気作『ファイナルファンタジーⅩ』を題材としたもの。難しい言葉も使われていないということで、初めて歌舞伎を見に行くのにはピッタリだと語られる。もちろん「ファイナルファンタジー」を知らない人も、楽しめる作りになっているというから安心だ。

　しかも、場所が香取も個展を開催して何度も足を運んでいたIHIステージアラウンド東京というから、草彅からも「慎吾ちゃん見に行かないとね〜！」と強烈なパスをもらう。すると香取は「そうですね。でも、これだけね“見さしてもらう”ってずっと言ってて見れてないから、最初は古典のほうが……みたいな……」とのらりくらり。これには中村も「なんだよー！」と慣れた様子で大笑いするしかなかった。

　またもや今回も見ないパターンか、と誰もが思った次の瞬間、香取が「いや、見に行かせていただきます」というから、スタジオに衝撃が走る。すると、すかさず尾上松也が「だったら今、日にち決めちゃいましょう。今決めないと来ないから！」と詰め寄ったのだが、やはり追われたら逃げたくなるのか香取は「ホント行けたら行きます」と、またゴニョゴニョしてしまうのだった。

　3月4日から4月12日までの公演中、香取がついに歌舞伎を鑑賞することになるのか。その点でも注目となった『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』。「ね、慎吾ちゃんよろしくお願いします！」と最後に念を押す中村に、「よろしくお願いします！」と応えた表情を見るとまだハッキリとはわからないが、ぜひとも香取のSNSにその感想がつぶやかれる日が来ることを待ちたい。そして、この先も続くであろう2人の追いかけっこのようなやりとりを楽しみにしている。