■スカート

3年ぶり待望のアルバムリリース！今年も映画やドラマなどへの書き下ろし充実

　ポップマエストロ・澤部渡＝スカートがついに3年半ぶりとなるアルバム『SONGS』をリリースしたこと自体がビッグニュースと言えるだろう。現在全国公開中の稲垣吾郎主演、今泉力哉監督の新作映画『窓辺にて』主題歌の「窓辺にて」、テレビ東京ドラマ25『絶メシロードSeason2』主題歌「架空の帰り道」やアニメ『オッドタクシー』OPテーマであるPUNPEEとの共作「ODDTAXI」は新たなアレンジで再録するなど、ドラマや舞台、CMタイアップが10曲を占める。加えて澤部のリズムギタリストのセンスが窺える「Aを弾け」などアルバム曲の色合いも様々だ。テーマがあることで引き出された澤部渡のフィルターを通したポップソングの数々を楽しむことができる。コロナ禍という空白の期間を経た、それぞれの人の逡巡や前進に、余白のある楽曲がしっくりくるアルバムが完成した。来年3月には同作を携えた東名阪ツアーも行われる。

■Homecomings

久々の全国ツアー成功　温かなサウンドに乗せた現代的なメッセージに集まる共感

　久々に全国ツアーを年頭に開催したHomecomings。各地のファンの静かな熱量を感じる中、リリースされたのはテレビ東京ドラマ『ソロ活女子のススメ2』エンディングテーマの「i care」。同テレビシリーズとのタイアップは「Herge」に続いて2度目だが、今回は書き下ろし。これまでの彼らの楽曲の中でも明快で朗らかさを感じる曲だ。作詞を手掛ける福富優樹（Gt）をはじめ、バンドの中では社会的なイシューを共有する彼ららしく、シスターフッドやフェミニズムがテーマでもある。それでいて、女性に限らず「なにを選んでも、それでいいからね」というメッセージは性別を超えて響くものだ。1月にリリースされた楽曲「アルペジオ」の原点に還ったようなギター主体の力強いアレンジにも注目したい。12月には東名阪で年末恒例となったクアトロツアーを開催、2023年はCDリリースから10年を数える節目の年になる。

■SOMETIME’S

初の自主企画＆新曲連続リリースに挑戦　アーティストとの交流で磨かれた音楽性

　2022年は初めて自主企画2マンライブシリーズ『SOMETIME’S Presents “League”』を開催。初共演のYAJICO GIRL、NakamuraEmiという意外な組み合わせ、SOMETIME’Sのサポートドラムでもある冨田洋之進の所属する、馴染み深いOmoinotakeと、三者三様の共演が実現した。その都度、対バンをイメージした新曲も配信リリースするという意欲的な取り組みも。そこで吸収してきたものが12月にリリースされたばかりの『Hope EP』に結実。今年リリースしてきた「Somebody」「Clown」「夏のMagic」や、EPのタイトルチューンでコーラス隊を迎えたオーガニックなソウル／クワイア調の新曲「Hope」と同じく新曲「Drug cure」の全5曲を収録している。また、本作のリリースに伴い、Kroi、the chef cooks me、ぷにぷに電機、YONA YONA WEEKENDERSを迎えたリリースパーティーも1月に開催。新たな交流に期待できそうだ。

■TOMOO

ネクストブレイク最右翼！　耳を奪われる歌声と楽曲センスで2023年の飛躍に期待

　今年8月に配信シングル「オセロ」でメジャーデビュー、＜IRORI Records＞の新たな仲間となったTOMOO。可憐な佇まいからは想像できないブルージーかつジェンダーレスな歌声にまず耳を奪われた人も多いのでは。10月にはニューシングル「17」をリリースし、シンガーソングライターとしての奥行きをさらに感じさせてくれたが、目下、年を跨ぐ5大都市ツアー『TOMOO 1st LIVE TOUR 2022-2023“BEAT”』を開催中。ライブではシンガーソングライターであり、またピアノが切り離せない表現手段であることも目撃できるはず。2023年はアルバムで今の全容をぜひ確認したい。

　今やジャンルではなく、意欲的なミュージシャンと共にポップカルチャー全体に影響を及ぼしている＜IRORI Records＞。2023年はどんな組み合わせが生まれるのか、また新しいアーティストのデビューはあるのか、追い続けたい。

■各サイト一覧
Replay of IRORI Records 2022
https://lnk.to/IRORIRecords_2022