#ババババンビ、「TIFアイドル総選挙2022」優勝を勝ち取った中毒性 洗練さを極めるライブアイドルシーンのシビアさ

 『TOKYO IDOL FESTIVAL』(以下、『TIF』)によるプロジェクト「TIFアイドル総選挙2022」が8月5日から7日まで3日間開催され、#ババババンビが1位に輝いた。

 「TIFアイドル総選挙2022」の出馬条件は、今回の『TIF』出演者のなかから2017年1月以降(5年以内)に結成され、さらに前年までに『TIF』への出演経験があるアイドルグループが対象。28組がエントリーして8月5日、6日に予備選挙がおこなわれ、歌とダンスをもとに、ファンによる現地投票と配信投票で順位が決定。Appare!が1位通過し、ナナランド、#ババババンビが続いた。そして、この3組で7日に最終決戦となる本選挙がひらかれた。

勢いだけではなく聴かせどころで観客を引きつける#ババババンビ

 そして見事に逆転優勝を飾ったのが、#ババババンビ。同グループは、2020年1月から活動を開始した7人組。そのライブの特徴は、コンセプトがあらわすとおり「馬鹿騒ぎ」である。たとえばライブのオープニングで必ず流れる入場曲(SE)ひとつとってみても、ナレーションはなんと格闘技『K-1』で活躍した角田信朗が担当。コクが強くて粘っこいそのナレーションは、おそらく角田が愛してやまない『北斗の拳』のアニメ版のオープニングを意識しているものだろう。この入場曲が聞こえると一気に“バンビワールド”が会場内に広がる。

 #ババババンビのセットリストは、その入場曲の後、「ばばばばんびずむ~!!」「とぅまっそ」へと流れるのが定番。ただ、前半のセトリが毎度のことであってもまったく飽きないのが不思議だ。楽曲のノリ、クセのつよい横移動の振付など中毒性が抜群なので、むしろ「これがなきゃバンビのライブは始まらない」といった雰囲気なのだ。

 ただ、お祭り騒ぎだけが#ババババンビの持ち味ではなく、自分たちにしか描けない未来への想いが詰まった「星形」、そして切なさが漂う「ハナビガタリ」など、情感たっぷりのパフォーマンスも見どころ。勢いだけではなく、聴かせどころではしっかりと観客の感情を引きつけることができる、#ババババンビ。今回の優勝もうなずける結果である。

 2位のナナランドは、2017年12月より活動スタート。前身グループは2014年デビューのdropで、そのメンバーを含めて7人組のナナランドへと生まれ変わった(現在、元dropのメンバーは大場はるかのみ)。また、ファッションブランドのglambのデザイナーや写真家ほか、日本ツインテール協会会長としても認知されている古谷完がdrop時代からプロデューサーをつとめていることも、話題として触れておかなければならないだろう。

 ナナランドはまさに「七人七色」というべきカラフルなステージングが魅力。一方で反骨心の塊でもある。2018年、『TIF』初登場グループしか出られない「メインステージ争奪戦LIVE」へ、結成1年目で出場。ただdropで『TIF』を経験していたこともあり、一部のアイドルファンからは反発も。そういった声に立ち向かうように争奪戦に挑み、優勝を飾った。非常にヒストリーを感じるグループでもある。

 3位のAppare!も改名経験のあるグループだ。2016年7月に天晴れ!原宿としてデビュー。KAWAIIカルチャーを創造して世界へ発信するという、2010年代の日本を象徴するコンセプトに沿った世界観作りも見事だったが、なにより楽曲がすべてノレた。「パレリラパレリラ」(2018年)の、メロディから歌詞があふれそうなくらいの情報量の多さは、まさに原宿のファッションカルチャー特有の過度さを楽曲化したようだった。

 2020年7月の改名後もぎっちりと歌詞を詰めていくスタイルは健在。「スカイラインファンファーレ!」(2022年)での冒頭のスピード感と情報量は、瞬く間にテンションをハイにさせてくれる。

 ちなみに筆者個人としては、予備選挙で敗退したものの、多彩な音楽性を持つTHE ORCHESTRA TOKYO、常にハングリーさを感じるライブをみせてくれるQUEENS、ハウスミュージックを取り入れるなどディスコチックな楽曲が特徴のSANDAL TELEPHONEなどが以前からお気に入りである。

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