櫻坂46 小林由依&尾関梨香&大園玲が語る、改名後初アルバム 掴みはじめたパフォーマンスにおけるグループらしさ

 櫻坂46が、改名後初のアルバム『As you know?』を発売した。これまでクールなイメージの強かった彼女たちが、ナチュラルな笑顔で肩を組むアーティスト写真も話題になった今作には、これまでにリリースしてきた4枚のシングル曲やユニット曲に加え、森田ひかる&山﨑天Wセンターのリード曲「摩擦係数」、欅坂46時代の楽曲を数多く手がけたナスカによる「条件反射で泣けて来る」などの新曲も収録。リアルサウンドでは本作について、小林由依、尾関梨香、大園玲にインタビューを行った。アルバムの話題だけでなく、櫻坂46としてのライブパフォーマンスの変化や小林、大園から見た卒業を控える尾関の存在など、充実の内容となっている。※取材は7月中旬に実施(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

未来へのポジティブな思いが込められたアートワーク

──今作『As you know?』は櫻坂46として初のアルバムですが、シングルのときとの気持ち的な違いはありますか?

小林由依(以下、小林):どうだろう……違うのかなあ。(尾関に向かって)違った?

尾関梨香(以下、尾関):私自身は「アルバムだから」という特別な感じはなくて、今回もシングルの制作と同じように、1作1作大切に作っていこうという感覚でした。

大園玲(以下、大園):私も曲に関しては、あまりシングルのときとの違いはないかもしれないです。新しい曲を届けるという気持ちに関しては、形は違っても一緒です。

──なるほど。とはいえ、今作はアートワークがこれまでのシングルとはテイストが大きく異なるじゃないですか。そこも含めて、気持ち的に違うのかなと思って質問してみたんです。

尾関:確かに、いつもと違いますもんね。今回は特に、以前のシングルで撮ったアー写のときよりもみんなでワイワイしたシーンが多かったから、気持ちが楽だったというか。もちろんお仕事でこういう撮影をしているけど、どこかプライベートではしゃいでいるような感覚もあって、それでより素顔に近い表情が多かったのかなと、個人的には思いました。

小林:1stシングル『Nobody's fault』から(クリエイティブチーム・PERIMETRONの)OSRINさんにアートワークを手がけていただいているんですけど、これまではシングルごとに「開拓」とか「革命」とかテーマを決めて撮っていただいていたところを、今回は一瞬一瞬の笑顔を青写真に収めるということだったので、いつもとテーマの違いも感じました。そういう意味では、シングル4作を積み重ねてのアルバムということで一区切り感もあったのかもしれません。

大園:この青写真に「こういう未来になっていきますように」というポジティブな意味が込められているので、みんなの素で笑っている表情を見るとそれをより強く感じるんです。CDのブックレットにもメンバー一人ひとりの写真が載っているんですけど、それぞれ本当に心の底から笑っている瞬間が収められていて。今までのブックレットはどちらかというとカッコいい感じで、笑顔というのはほぼなかったので、今回は今までにない新しい表情を楽しめるんじゃないかなと思います。

小林由依

──どちらかというと、こういう写真ってメイキングやオフショットで目にすることが多かったですが、今回はジャケットなどで大々的に打ち出すことで、楽しそうな様子がストレートに伝わってきます。

大園:みんな大爆笑していましたもんね(笑)。個人的にはメインのアー写での、全員横並びというのも新鮮でした。

──かつ、この流れも「五月雨よ」という楽曲で新境地を開拓したあとだからこそ、すごく自然に受け止められるんです。

小林:うん、そうかもしれませんね。

──小林さんが「シングル4作を積み重ねてのアルバムということで一区切り感もあったのかもしれない」とおっしゃいましたが、それはアルバムの内容にも表れていると感じました。特にリード曲「摩擦係数」はすべてにおいて、現時点での櫻坂46の集大成のような楽曲です。この曲は最初に聴いたときにどう受け取りましたか?

櫻坂46『摩擦係数』

小林:この曲はかなり早い段階で歌詞を含めいただいていて、MVを撮るときには歌詞を深く理解して振り入れもできましたし、撮影も丁寧に進められたのかなと思っていて。ただ、最初にタイトルを目にしたときは“摩擦係数”という言葉の意味を知らなかったので、「難しい単語のタイトルだな」と思いました(笑)。

──意味深というか、惹きつけられる言葉ですし。

小林:そうですね。歌詞を読み込めば読み込むほど、深い意味を感じる言葉だなとも思いました。

大園:私は最初に歌詞をいただいたとき、一つひとつをあまりオブラートに包んでいないストレートな言葉がすごく多いなと感じて。だから、言葉としては強いんですけど、それと同時にどこか達観しているというか、距離を置いて全体を見ている立場から歌っている歌詞のような気もしたんです。今までの「BAN」や「流れ弾」みたいに感情剥き出しな感じとは、また違うカッコよさなのかなと思いました。

──それが若干落ち着いた曲調ともリンクしていますもんね。

大園:うん、そう思います。

──尾関さんはこの曲を聴いた感想っていかがでした?

尾関:現時点での自分にすごく刺さる歌詞ですし、過去の自分に言ってあげたいなって感じる内容でした。なので、聴いてもらって今すぐには伝わらなかったとしても、いつか絶対にどこかで伝わってくれる曲なんじゃないかなと思います。この歌詞にあるような状況に陥ったときにこそ、この曲のことを思い出してくれたらうれしいです。

尾関梨香

──MVも拝見しましたが、今回は森田ひかるさんと山﨑天さんのダブルセンターという、櫻坂46としては初めてのスタイルが新鮮でした。ダンスの見せ方ももう一段高いところに進んだ感じがして、「櫻坂46はこういうグループです」ということをわかりやすく表現した仕上がりだと思いました。

小林:ありがとうございます。ダンスは今回ももちろん難しいところがあったんですけど、でも難しくなるとみんな必死になるし、それがMVだとなおさら、振り入れしたばかりなので「やるしかない」みたいな感じで。その熱量が映像を通しても伝わるんじゃないかと思います。

大園:今回、新しいなと思ったのが1サビでしっかり縦に並んでいるところで。今までのフォーメーションでは、みんなで何か形を作ってということが多かったんですけど、今回は縦横しっかり揃えてその中でみんなで同じ振りをするので、より揃えることの大切さや難しさを感じました。

──櫻坂46のダンスは欅坂46時代ともまた違ったテイストかと思いますが、特にどのようなところで違いや変化を感じますか?

小林:櫻坂は全員ユニゾンで踊る部分が多いなと感じます。あと、根本的なところで感じるのが、気持ちだけじゃなくて技術面もすごく求められているのかなと。以前は気持ちでカバーできていたところも、今はそれより一歩上のものが求められている気がします。

尾関:もちろんみんな、ここまで努力を重ねて一生懸命やってきたと思いますが、今言っていたように気合いじゃ乗り切れない振り付けが増えていて。改名してからは特に、振り入れのたびに「基礎ができていなかった部分があるな」と改めて感じることが多くなりました。例えば一見覚えやすそうな振り付けでも、そこに細かいテクニックや表現が求められていたりと、そういう場面でより基礎の大切さを実感します。

大園:私は櫻坂になってからはただ必死にやるだけじゃなくて、一つひとつの動きの意味を考えるようになった気がします。歌詞においても、例えば「摩擦係数」の〈殴るよりも殴られろ〉だったら自分の首を締めて生きるとか、そういう動きにもいろいろ意味があって。その意味をちゃんと一つひとつ理解しながらパフォーマンスしようという思いは、曲を重ねるごとに強くなりました。

大園玲

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