そんなナヨンのポテンシャルを改めて確認できるのが、同曲のミュージックビデオである。30着以上の衣装を用いて撮影されたという本映像は、さながら動く写真集。早いカット割りで、様々な衣装のナヨンが次々に登場する。しかもカットが変わるタイミングが独特だ。一拍、二拍、三拍で変わるのが主で、四拍以上同じカットを使っている部分がめずらしい。この切り替えの独特のリズム感は、韓国で制作される昨今のミュージックビデオ全般に見られる手法だが、既視感がなく斬新な印象があり、グローバルなトレンドにもなってきているように思う。TikTokにも同様のアプローチに挑戦する動画が徐々に増えてきているのも興味深い。

　「POP!」は、前述した〈Pop pop pop (Uh uh)〉の部分の手振りを真似する動画で、TikTok内で瞬く間にバズを起こした。この部分のダンスは、両手のポーズが違う上、瞬時にポーズを入れ替えなければいけないことなどから、見た目よりも真似するのが難しく、「#脳トレダンス」というハッシュタグが派生。そこから様々なVlog動画などにも使われるようになり、7月下旬現在、「#pop」の視聴回数は170億を突破し、まだまだ伸びそうな勢いがある。2022年の夏を彩る1曲になることは間違いないだろう。