その勝利宣言とも言える音は今年2月に届けられた。なんと、かつてツアーで一緒になって以来、互いにリスペクトを捧げる仲だというデイヴ・グロール（Foo Fighters）と共作、しかも彼がドラムでも参加した「Everything’s Electric」をデジタルリリースし、同時に5月にアルバム『C'mon You Know』をリリースすることを発表したのだが、なんといってもこのシングル曲が魅力的かつ強力なロックアンセムとなっている。『BRIT Awards 2022』のパフォーマンスでも観客は熱狂的な反応で応え、サビではシンガロングがすでに巻き起こっていた。

　4月にはアルバムタイトルトラック「C'mon You Know」をリリースして、こちらも3月26日にロイヤル・アルバート・ホールで行われたチャリティ公演で披露して大反響を受けるなど、完全にフロアが過熱状態でのアルバムドロップとなる。

　盛り上がる観客に囲まれたジャケットも最高ながら、いかにもリアムらしいタイトルの「More Power」が1曲目に据えられたアルバムは、これまで以上のスケール感を期待できそうだ。前2作の完璧とも言える成功、ソロシンガーとしての評価と人気を確立したことによる自信が、楽曲と歌唱に反映されてワクワクさせられる。年齢を重ね、辛い場面も数多く乗り越えてきたことで、どんな大言壮語からも、空元気ではなくすべてを把握したアーティストとしてのスケール感が伝わってくる。

　3曲目の先行リリースとなった「Better Days」の自信たっぷりな歌声からもわかるように、ロック的な尖ったアプローチとポップ性が素晴らしいバランスで収められているのは、リアムが一貫して目指してきたものだろう。「C'mon You Know」の〈来いよ、笑顔を見たいだけさ〉（和訳）と呼びかけるメッセージ性も、この不穏な時代にあって特別なパワーを持って響いてくるし、平和への思いや訴えはこれまでの作品以上に強く迫ってくる。

　かつてのあの喧嘩とスキャンダルにまみれたリアムを知る人には信じられないような気がするだろうが、彼の鋭くパワーあふれるボーカルは「Everything’s Electric」を筆頭に少しも薄れてはいないし、年齢にふさわしい成熟へも進んでいることが感動的だ。

　また、新作と同時に2020年12月に有料ストリーミング配信された、ロンドンのテムズ川で行ったライブの模様をライブアルバム『Down By The River Thames』としてリリースするほか、6月には伝統あるネブワース・パークでソロ最大規模の公演、続いてブラジルでの『Rock in Rio Lisboa 2022』出演が控えるなど、巨大スケールのライブが続く。後年、「2022年はリアムの年だった」と記憶されることになるかもしれない。

■リリース情報1
リアム・ギャラガー『C’MON YOU KNOW』
2022年5月27日（金）発売　¥2,860（税込）
＜収録曲＞
M-1 More Power
M-2 Diamond In the Dark
M-3 Don't Go Halfway
M-4 C'mon You Know
M-5 Too Good For Giving Up
M-6 It Was Not Meant To Be
M-7 Everything's Electric
M-8 World's In Need
M-9 Moscow Rules
M-10 I'm Free
M-11 Better Days
M-12 Oh Sweet Children
M-13 The Joker
M-14 Wave
M-15 Too Good For Giving Up (Alternate Version)(* BONUS TRACK)

■リリース情報2
リアム・ギャラガー『Down By The River Thames』
2022年5月27日（金）発売　￥2,750（税込）
※初回限定紙ジャケット仕様盤
＜収録曲＞
M-1 Hello
M-2 Wall of Glass
M-3 Halo
M-4 Shockwave
M-5 Columbia
M-6 Fade Away
M-7 Why Me? Why Not.
M-8 Greedy Soul
M-9 The River
M-10 Once
M-11 Morning Glory
M-12 Cigarettes & Alcohol
M-13 Headshrinker
M-14 Supersonic
M-15 Champagne Supernova
M-16 All You're Dreaming Of

※2作同時購入で特典（トートバッグ）付属
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