BTS、RMが語った次なる目標は“全自作のアルバム” 各メンバーが自作曲でARMYと交わしてきた様々な感情

 2020年に初の自作曲としてJUNG KOOKが発表した「Still With You」も、ARMYへのラブレターと呼べる楽曲だ。パンデミックによって、会えなくなってしまったARMYへ。いつになるかわからない再会のときに思いを馳せ、目を見つめて「会いたかった」と伝えたいと歌う曲。一見すると王道のラブソングにも聴こえるかもしれないが、さりげなくBTSとARMYをつなぐ紫色の景色を想像させる歌詞が入れ込まれているところが、より一層ARMYにとって特別な歌になっている。また、V LIVEの生配信でアカペラを披露してみせたところも、歌番組や大きな会場でのライブとは違った感情の伝わり方があった。多くのARMYに向けた曲ではあるものの、その1人ひとりに届けられるような温度感が両立し得るのだと気付かされる1曲だ。

 そうしたパーソナルな感情がダイレクトに伝わってくるという点では、JINが2019年に発表した初の自作曲「Tonight」も胸を打つものがあった。アコースティックなメロディに乗せて、愛する人との時間を思い返すこのバラードは、JINが溺愛していたフクロモモンガの「オデン」と「オムク(オムギ)」、白い犬の「チャング」を想って作られた曲。また2020年に発表したソロ曲「Abyss」の作詞を担当すると、そのタイトル通りツアーができない期間の絶望を率直に曲へと昇華。そして曲を作り歌うことでその気持ちが軽くなったのだとインタビューで答えていたのが印象的だった(※2)。一方で、その1年後にこれまでの自作曲とは全く雰囲気の異なるトロット(韓国演歌)風の「Super Tuna」を発表するという幅広さにもしびれた。JINという人の引き出しはまだまだ奥が深いと思わずにはいられない。

Tonight by Jin
[CHOREOGRAPHY] Jin of BTS ‘슈퍼 참치’ Special Performance Video

 そして幅広い楽曲に常に挑み続けている人といえば、Vがいる。日頃からジャンルを問わず様々な楽曲を聴いているV。その興味の幅に比例するように自作曲のラインナップも実に色彩豊かだ。2016年にリリースされたBTSの2ndアルバム『WINGS』収録のソロ曲「STIGMA」から、すでに作詞作曲を手掛けており「歌詞には僕の個人的な話を収めた。過去僕が大変だった時期、その瞬間を歌詞で表現した」とコメント(※3)。その後「Inner Child」においても、かつての自分を振り返って作詞したと語られている。また、2019年には「Scenery」「Winter bear」とコンスタントに発表したかと思えば、Peakboyと共同制作した「Snow Flower」を、さらにパク・ソジュンの主演ドラマ『梨泰院クラス』のOSTとして「Sweet Night」も手掛けるなどなど、次々に親友グループ・ウガファミリーとの絆を感じさせる作品を発表。制作スタイルそのものも変化を遂げていく。常に自分の新しい一面を見せていこうというVらしい動きだと感じた。

Inner Child

 改めて彼らの自作曲を振り返ってみると、そこには彼らがARMYと交わしてきた多くの感情があることがわかる。この関係性をRMはV LIVEで「韓国ではこれを縁と言うんですが、僕たちはお互いに特別な存在になりました」「喜びと楽しさは本当に短い。でも僕たちはお互いに出会って、すごいものを作っています」と語った。

 メンバー個人の感情から、ARMYと共有した風景が、また新たな感情へと繋がっていく。そんな相互的なやりとりが、次の作品を生み続けていく。その積み重ねの先に、きっとRMが見据えている「作詞も作曲も編曲も自分たちだけで作るアルバム」があるはず。ARMYと共に7人それぞれの持つ感情、視点、表現が今後どのように変化し、どんなアルバムへと繋がっていくのか。ますますBTSのこれからが楽しみになった。

※1:https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2163423
※2:https://rollingstonejapan.com/articles/detail/36055/2/1/1
※3:https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2054344

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