MACO、音楽を通じて再確認した自分らしさと使命感 “約束”に込められた想い

 シンガーソングライターのMACOが3年ぶり、5枚目となるアルバム『We Promised.』を4月6日にリリースした。今作には、アルバムの核となるメッセージが込められたラブソング「Promised.」や、切ない恋心を美しいサウンドと共に歌い上げるバラード「End Love?」といった先行配信曲を含む全10曲が収録されている。自分らしく生きるために音楽と向き合ったMACOによる多彩なソングライティング力が光る、渾身の1枚に仕上がった。今回のインタビューでは「Promise=約束」というキーワードに込められた想いや、自身の物語、そしてファンとの絆など、たっぷり語ってくれた。(上野三樹)

私がありのままでいられるのは歌を歌っている時

ーーアルバム『We Promised.』の制作はいつごろから、どのようにスタートしましたか。

MACO:去年の秋ごろからスタートしました。新たに書いた曲もあれば、温めていた曲をブラッシュアップさせたり。当初から今作のコンセプトは「約束」と決めていたんですけど、それは自分との約束だったり、ファンのみんなとの約束でもあります。

ーー「約束」というキーワードが出てきたのはどうしてだったんですか。

MACO:前世での約束を果たすためにいろんなタイミングが重なって、今こうして出会えたんだなと思う人が多くて。ファンの皆さんとコロナ禍で会えなくなったけど、また会おうねって約束をしたこともそうですし、音楽を使命としてやっていくんだという自分との約束という意味でも、今回のアルバムのキーワードになりました。

ーーやっぱり歌うことは自分の使命なんだと。

MACI:はい、音楽から距離を置いた時期もあったんですけど、歌うことが自分の生活からなくなった時に、しっくり来なかったというか、虚無感があって。やっぱり音楽に触れている時が自分らしくいられるし、私は自分らしさを出せないまま違うMACOを演じていると、壊れていっちゃうんだっていうことがわかりました。私がありのままでいられるのはきっと、ステージの上に立っている時や、歌を歌っている時なんだなって。今回の制作を通じて、それをすごく感じましたね。

MACO 5th Album「We Promised.」Teaser ー2022.04.06 in storesー

ーーまさに「Promised.」での〈今までの出来事は/全て決まっていたこと〉という歌詞に通じるお話ですね。

MACO:そうですね、日々そう感じています。一度はどん底な気持ちになったことも、今は楽しく音楽をやれていることも、全部決まっていたことなんだなって。〈こんな私がもう一度 生きようと思えた〉という歌詞もありますが、萎れていた花が生き返るような、本当に忘れがたい奇跡のような経験をしたので、書けた曲です。前向きな気持ちに追い風を吹かせてくれるようなサウンドで仕上げました。

ーー2曲目も「運命共同体」というインパクトのあるタイトルの曲です。〈棺桶まで一緒ね?〉という歌詞がユニークですよね。お墓が一緒ならわかるんですけど、棺桶って。

MACO:そうですよね(笑)。お墓だと、どちらかが先に入っていて一緒になるイメージなんですけど、棺桶に一緒に入るなんて、狂気じみたラブソングですよね。まだ出会って日が浅いのに、たぶん死ぬ時まで、この人の側にいるんだろうなと思えた、そんな奇跡的な毎日を描きたかったんです。もう恋愛の枠を超えて、何よりも大事だと思えるような関係性というか。

ーー〈お揃いのリングなんて馬鹿馬鹿しいね〉というのは、そういうことなんでしょうね。

MACO:そうです。形にしなくてもいい関係性なのかもしれません。もう本当に瞬間的な想いをそのまま、制作にも歌入れにも全然時間をかけずに全てがバシッとはまっていく感じでレコーディングした曲です。

ーーすごいですね。歌詞もほとんど直したりせずに?

MACO:はい。でも、みんなにどうしたら伝わるかなということはよく考えて、季節感や、クリスマスのようなイベントをモチーフにしてみました。以前から日記を書くようにドキュメンタリーに近い音楽を届けてきましたが、この曲もまさにそんな私らしいものになっています。

ーーアルバムの収録曲が発表された時に、「愛」というシンプルなタイトルの楽曲が入ることもファンの間で話題になっていました。

MACO:「愛」はみんながライブの時に私に向けてくれる顔や、ステージに立っている自分を何度も思い出したりして、想像を巡らせながら書いた曲です。ファンの方や音楽に対して、「ありがとう、本当に愛しています」という気持ちを込めています。

ーーこれは愛の歌でもあり、生きるためのメッセージソングだなと感じました。

MACO:そうですね。去年の頭からずっと作っていた曲で、満を持して、アルバムの肝になるような曲ができたなと思いました。〈頑張る理由を探しても見つからない/一人の部屋〉という歌詞もリアルで、本当にそんな日がありました。でも「やっぱり音楽が必要なんだ」「歌いたかったんだ」と思えた時に涙が出てきて、その時に感じたことを「愛」という歌に落とし込んだんです。私が辛い時に、ファンの方からDMなどで「自分も辛いよ」というメッセージをもらうこともありましたし、だからこそ眠りにつく時、みんなに「大丈夫だよ」「よく頑張ってるよ」と伝えたくて。この曲でみんなの気持ちが楽になってもらえたらいいし、MACOの愛がちょっとでも伝わったらいいな。

ーーそして軽やかなサウンドの「lonely」ですが、失恋直後の混乱が描かれていて切ないです。最初は〈クソみたいな恋が終わって〉だった部分が、後に〈大切な恋が終わって〉と描写が変化しています。

MACO:歌詞にも出てきますが、ストロングゼロを飲んで酔っ払って「クソだったな」とか思いたくなることもあるけど、やっぱり大切な恋だったなとも思うーー失恋したばかりで混乱していて、自分でもよくわからない、だけど〈君がなんか楽しそうにしてるなんてイヤ〉〈会いたいんだ〉という気持ちを書きました。私は飲まないんですけど、ストレス発散のためにストロングゼロをストローで飲み干してしまう可愛い女の子たちのことを憑依させていて。寂しい時に、彼女たちが〈「嫌なこと 忘れる 方法」〉なんてGoogleで検索している姿を思い浮かべたりもしました。次の日になれば「なんであんなことを考えていたんだろう?」と思ったり、忘れちゃったりすると思うんですけど、楽しい曲調なので「こんな日もあるよね」くらいの感じで聴いてもらえたら。

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