ミーガン・ザ・スタリオン、力強く女性をエンパワーするリリックが世界中のリスナーを魅了　デュア・リパとのコラボ楽曲にも注目

参照：https://charts.spotify.com/charts/view/regional-global-weekly/latest

　Spotifyの「トップ50（グローバル）」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第25回となる今回は、2022年3月11日～2022年3月17日集計のチャートを見つつ、デュア・リパとコラボした新曲「Sweetest Pie」が初登場17位にチャートインしたMegan Thee Stallion（ミーガン・ザ・スタリオン）を紹介したい。

ミーガン・ザ・スタリオン＆デュア・リパ「Sweetest Pie」、初登場17位に

　トップ10に変動がなかった今週のチャート。1位は先週に引き続きGlass Animalsの「Heat Waves」、2位はザ・キッド・ラロイの「STAY」、そして3位はImagine Dragonsの「Enemy」という結果となった。Elley Duhé（エリー・ドゥエ）の2020年の曲「Middle Of The Night」が5ポイントアップし、14位にチャートイン。ミーガン・ザ・スタリオンとデュア・リパの「Sweetest Pie」が初登場17位にチャートインし、さらに順位が上がることが期待される。

ミーガン・ザ・スタリオンの存在を広く知らしめたフリースタイルラップ

　テキサス州ヒューストン出身のミーガン・ザ・スタリオン。彼女は「Holly-Wood」という名義でラッパーとして活動していた母親に最も影響されたと明かしており、幼少期から母親のレコーディングセッションに参加していたようだ（※1）。そんな彼女のラップは非常に力強く、黒人女性をエンパワーするリリックで世界中のリスナーを魅了している。

　彼女は14歳のときに、母親がレコーディングしている間の暇つぶしとしてリリックを書き始めたと明かしており、「スタジオのラウンジエリアのソファでくつろいでて、面白い！と思っていた。母親がビートの上でレコーディングしているときに、私も内緒で頭の中でリリックを書いていた」と語っている（※1）。

　ミーガン・ザ・スタリオンは大学時代に、SNSにフリースタイルの映像をアップしはじめたことがきっかけで注目されるようになる。2017年にリリースしたXXXテンタシオンの「Look At Me!」のビートでフリースタイルした動画「Stalli (Freestyle)」はバイラルになり、このフリースタイルで彼女の存在を知ったヒップホップファンも多いだろう。

　2018年には元プロ野球選手、カール・クロフォードが設立したヒューストンのインディーズ・レーベル＜1501 Certified Entertainment＞と契約し、EP『Tina Snow』をリリース。彼女は、知的や性的など、特定のカテゴリに入るつもりはないという旨を語っており、自身が感じていることをさらけ出すスタイルが評価された（※2）。同年の11月には、ヤング・サグやフェティ・ワップなどが所属する名門レーベル＜300 Entertainment＞と契約し、2019年にはヒップホップで最も熱い新人をフィーチャーする企画「XXL Freshman Class 2019」に選出された。

　2019年の夏にはニッキー・ミナージュとの待望のコラボ「Hot Girl Summer」をリリースし、Billboard Hot 100にて11位を獲得（※3）。元はニッキー・ミナージュとのInstagram Liveで生まれた「Hot Girl Summer」という言葉であったが、インターネットミームとして流行語になった。2020年にリリースしたEP『Suga』に収録されている「Savage」は、TikTokでバイラルになり、ビヨンセが参加したリミックス版はBillboard Hot 100で1位を獲得（※4）。「Savage (Remix)」の売上は全て地元ヒューストンの新型コロナウイルスの援助に寄付された（※5）。