現代のポップを痛烈に射抜く4s4kiとは何者か? 気鋭の女性アーティストが表現する、カオスとしての普遍性
4s4kiの楽曲の大いなる個性は、メロディの鮮やかさだ。ハイパーポップのような破壊的でカオティックなスタイルの中でこそ、不安や願いを込めたメロディの叙情性は際立ち、楽曲全体でより強い力をもつ。甲高くも低くもないフラットな4s4kiの声質は、重低音の効いた激しい音の中で抜けが良く、メロディを強調するのに適しているだろう。2月16日リリースの最新EP『Here or Hell』収録の「0h G0D!!」や「KILL MY SELF, I tried」で、そのメロディ感覚を存分に確かめることができる。不甲斐なさや精神不安を綴る言葉は、メロディの煌めきの中でこそ、説得力を持つ。4s4kiにとって音の暴力性とメロディの抒情性は、身体感覚を丁寧に紡ぐために不可欠な道具となっている。
4s4kiは世代や時代に限定される作家ではない。特定のカルチャーと関わりを持ってはいるものの、限られたコミュニティに居場所を求めることはしない。2021年末、Spotifyの「今年あなたが最も聴いた音楽」のスクリーンショットをTwitterに上げている人が多くいた。その中で、4s4kiを好きな人が一緒に聴いていたミュージシャンが、ある人はAdoで、ある人は舐達磨で、ある人はThe Beatlesだった。ついでに言うと、筆者は「ブラックホール」という曲にART-SCHOOLのグランジ性を感じて、強く惹かれた。つまり、ボカロカルチャーに親和性のある人も、アンダーグラウンドラップの支持者も、クラシックロックの愛好者も、ダークなオルタナティブロックのリスナーも、4s4kiのオーディエンスにはいるということだ。
4s4kiは自身の音楽を「カオス」として定義するが、それはあらゆる音楽ジャンルのごたまぜだけを意味しない。大勢が確かに感じながら漠然としか受け止められない混沌を、性質も来歴も異なる人々が共に有する曖昧な情動を、4s4kiは突き当てて解放する。4s4kiにおける「カオス」とは、それすなわち「普遍」の言い換えである。
カオスとしての普遍を描くためにこそ、メロディと音のフォルムを研ぎ澄ませなくてはいけない。研ぎ澄ましの先に、誰もが抗えない強烈な誘引力、つまり「ポップ」が生じる。4s4kiはめちゃくちゃすごいポップ、有無を言わせぬ「ハイパー」な「ポップ」を目指して、今日もカオスを生き抜いていく。
※1:『MUSICA』2022年2月号
※2:https://spincoaster.com/interview-4s4ki
■最新リリース情報
4s4ki Digital EP『Here or Hell』
2022年2月16日(水)リリース
配信はこちら
<収録曲>
1.地獄電話
2.Punish
3.KILL MY SELF, I tried
4.0h G0D!!
5.ハツカネズミ
6.go to glory
Official HP:https://4s4ki.xyz
Instagram:https://www.instagram.com/asaki_a_a/
Twitter:https://twitter.com/0311asaki
YouTube:https://www.youtube.com/c/SAD15mg/