STRT×cloline トークセッション『SCENE#A36786』レポ 日韓音楽シーンの違いや注目アーティストが明らかに

 次世代アーティストのクリエイティブやマーチ、ライブイベントなどの領域をプロデュースするチーム・STRT(ストリート)と、新進気鋭な韓国の若手アパレルブランドを取り扱うオンラインセレクトショップ・cloline(クロリネ)による映像作品『SOMEWHERE IN BETWEEN』が、現在STRTの公式YouTubeチャンネルにて公開中。11月28日には招待制のシークレットイベントが行われ、日韓共作フィルムの上映と次世代アーティスト“さらさ”によるライブが、翌29日には完成披露試写会および日韓トークセッションが開催された。

【ShortFilm】SOMEWHERE IN BETWEEN - SEOUL編
【ShortFilm】SOMEWHERE IN BETWEEN - TOKYO編

 また、11月28日に行われた、さらさのシークレットライブも同チャンネルにて公開している。

さらさ | グレーゾーン (Live Video - SCENE#A36786 )

 本稿では29日のトークセッション『SCENE#A36786』についてレポートする。同イベントには、音楽キュレーターのはろーと、日韓のダブルアイデンティティを持つclolineのプロデューサーShinji Kohが登壇。イベント名は、韓国の国旗と日本の国旗のカラーコードを合わせて命名された。会場ではまず、日本と韓国での共作を実現させた映像作品『SOMEWHERE IN BETWEEN』が上映。 映像は、日本人と韓国人の両親のもとに生まれ2つの国のアイデンティティを持つ主人公「カイ」の物語で、韓国編では日本から韓国に帰国したカイとその友人のストーリーが、日本編では日本に住む海(カイ)とクラブで出会った少女のストーリーがそれぞれ描かれていた。

  上映後にははろーとShinji Kohがテーマに沿ってトークを展開した。まず映像を観た感想について、はろーは音楽面での違いを感じたと言い、「韓国のインディーシーンの音楽はスムースな音楽が多い一方、日本のインディーシーンはロックカルチャーが強い。韓国でピックアップされた音楽の中にひずんだエレキの音はなかった印象で、日本と韓国でこれからピックアップしたい、もしくは浸透することを見込んでいる音楽がそもそも違うなと感じた」とコメント。Shinji Kohは言語と表現の特徴に触れ、「日本語・韓国語が英語と大きく違うのは、行間があること。映像のキーメッセージとなっている“向き合わなきゃいけない”というのは、それだけだとなにも伝わらないはずなんですけど、日本語や韓国語を母語にしたり、話せる人からするとそれだけで伝わる」と、世界観を共有できていることを実感したと語った。さらに、「東京編では、看板を見て『韓国語が話せる』『日韓ダブルなんだよ』という話が出てきたり、ブランコに乗りながらお弁当のことを振り返ったり、シーンがきっかけというか、外を含めての展開になっていた。韓国側では、どちらかというと日常に溶け込ませて内面から言葉ですべてを説明しようとしていたのが印象的だなと思いました」とも述べた。

 続いては二人が日韓で今注目しているアーティストの話題へ。はろーはまず、チェ・ジョンユンの名前を挙げ、バークリー音楽大学出身でジャズを学んできた経緯があり、音楽性に間違いがないと絶賛。「自分が今一番日本にお呼びして、イベントをやりたいと思っている方の一人。彼女の音楽もスムースで、J-POPとも親和性がある」と推した。

 次に紹介したのは、テコンドー経験もあるアーティスト meenoi。「韓国といえばインディーシーンにもメジャーシーンにも欠かせないのがHIP HOP。彼女は一見ナチュラルでシンガーソングライター然としたイメージなんですけど、ゴリゴリのHIP HOPをやっている」と紹介し、『SHOW ME THE MONEY』のブームに乗じ、YouTubeなどで発信したところメジャーシーンからも注目されるようになったと解説した。

 最後に日本からは「スペシャルすぎるドラマー」として石若駿を紹介。「ジャズクラブは町の飲み屋さんのようにいっぱいあるんですけど、彼はもちろんジャズ箱で演奏しますし、近年では音楽性がマッチし、秀でていればメジャーシーンもインディーシーンも特にプレーヤーは垣根なく起用する時代なので、くるりや星野源さんのサポートドラマーとしても活動している。ジャズシーンとポップスシーンをつなぐような、これからの音楽界のキーマンになるドラマーです」とシーンにおける重要性を語った。 

 続いてShinji Koh はSMエンターテインメント所属のaespaをピックアップ。音楽の素晴らしさだけでなく、日韓ダブルアイデンティティを持つメンバー ジゼルがいることに触れ、さらにメタバースに存在しているメンバーという設定の面白さにも言及した。「韓国の大型事務所のマーケティングって言うまでもなくすごく上手で、なおかつ先進的なものを取り入れていることが如実に表れている。デビュー自体は一年以上前なので、メタバースに今ほど注目が集まっていない段階で仕掛けているんです。韓国の大手事務所はそういう先取り、そしてかつビジネスとのつなぎ込みがすごくうまい」とそのスピード感に触れ、「SM Entertainmentと韓国科学技術院(KAIST)でメタバースを研究しているチームでタッグを組んで、エデュケーションしてもらう過程も経て、グループの世界観を作り上げた上でできあがったグループが8人組のaespa」と解説。ビジネスとしてもマーケティングとしても非常に面白く、メタバース絡みでどのような形に今後なっていくかという部分にも期待を寄せた。

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