後半戦のスタートを飾ったのは、「BABY STEP」。ラスサビ前のワンコーラスをマイクなしのアカペラで歌う場面もあり、改めて松本の歌唱力に惚れ惚れとさせられる。「風と船」では星のようにライトが輝く幻想的な空間の下、〈空の階段を降る〉の歌詞にリンクさせて階段を降る松本にニヤリとしながらも、川口の奏でる心地よいスネアロールに聴き入ってしまった。階段状のセットに上って演奏する大屋真太郎（Gt）の姿や、星空を見上げるように松本が寝転ぶシーンも見られた「月のこどもたち」とピアノバラード「Fragile」を挟み、ロックナンバー「New Clothes」へ。ダイナミックで圧倒的なパワーのある演奏を見せつつ、「行こうぜ東京！」と声を掛ける。リスナーも次曲「涙星群の夜」のテンポに合わせクラップを鳴らし、LAMP IN TERRENのメンバーに負けじとホール全体を盛り上げていく。ラストスパートに差し掛かった時点でプレイされた「地球儀」では、松本がドラムスティックを指揮者のように振るパフォーマンスをしたり、2階席を見上げるような仕草をしたりしてファンとさらにコミュニケーションを深めていく。

　楽しいことの延長線上として15年続けてきたバンドで、自分には何もないと時折思いつつも、「お前は良いものを作っている」と自分を騙しながら前に進んできた感覚があると吐露した松本。そして「この15年が意味あるものなのかは俺しか決められない。だから好きにやっていい。だから死に物狂いで歌ってる。届いてますか」という言葉にリスナーが大きな拍手で応えると、本編最後の曲として「EYE」が奏でられた。腹の底から訴えるように愛を歌い、〈心から愛したいと思う〉のところで手を差し出す姿にもグッときた。この日最大の盛り上がりのなか、4人は日本青年館のステージでワンマンライブを行った証をしっかりと残し、ステージを後にした。

　リスナーからの鳴り止まない拍手に応えて舞台に再登場したLAMP IN TERREN。「アンコールが来たら、これ歌うって決めてたんで」という前置きのもと「メイ」を演奏し、12月8日にはEP『A Dream Of Dreams』が配信リリースされることも発表された。そして新EPにも収録される「カームダウン」を初披露。〈カームダウン〉とリフレインするフレーズが印象的な冬にぴったりの温かいナンバーとなっており、これから訪れる寒く憂鬱な季節に楽しみをくれた。最後に「誰にも聞こえないくらいのテンション感で（「カームダウン」を）歌って、温かい気持ちで帰ってください。本当にありがとうございました、LAMP IN TERRENでした」と締め、本公演は幕を閉じた。彼らは16年目以降もさまざまな判断を迫られると思うが、そのたびにバンドを続けるという選択肢を選び、この世に光を灯し続けてくれるだろう。

■セットリスト
『LAMP IN TERREN 15th Anniversary ONE-MAN LIVE「Branch」』
11月13日（土）東京・日本青年館
1.ニューワールド・ガイダンス
2.Enchanté
3.ランデヴー
4.innocence
5.heartbeat
6.緑閃光
7.Water Lily
8.心身二元論
9.花と詩人
10.BABY STEP
11.風と船
12.月のこどもたち
13.Fragile
14.New Clothes
15.涙星群の夜
16.地球儀
17.multiverse
18.EYE
EN1.メイ
EN2.カームダウン

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