Mega Shinnosukeが示した“Z世代ならではの戦い方” アルバムへの期待値も十分な東京初ワンマンライブ

 初期Radioheadを換骨奪胎した印象の「本音」で前半を一旦締め、メンバーが捌けたステージに一人、クラシックギターを抱えるMega Shinnosuke。インスタライブでの弾き語りも好評だが、「インスタライブからカフェライブも通らずいきなりリキッドルームにキャパシティを上げた人はいないだろう」と、満足げ(!?)。中性的で決して強い歌声ではないが、通る魅力的な声が最低限の伴奏で届けられる。「甘ったるい呼吸」の弾き語りから、バンドスタイルでORIGINAL LOVE「接吻」のカバーに繋いだのも妙案だったし、さらに「接吻」のコードやグルーヴから人気曲「桃源郷とタクシー」に繋いだこともナイスセンス。ORIGINAL LOVEの原曲を知っていようといまいと、彼を通じてカッコいい曲の構成要素を自然と知ることになる。人間ジュークボックス、もしくはDJ的なエディトリアルセンスは曲作りだけでなく、セットリストの組み方にも表れている。ちなみに「桃源郷とタクシー」のカタルシスは凄まじく、ハンズアップとジャンプでこの日のピークを迎えた。ラストはトロピカルディスコな「Sweet Dream」をグッとタフなバンドバージョンでプレイ。音源のJinmenusagiのラップパートのSEと重ねたのだろうか、ダブルで聴こえてくる感覚が楽しかった。

 存分に喋り、存分に様々なアプローチを盛り込んだせいで、曲を畳み掛けるライブとは違う、Mega Shinnosukeのクリエイティブ全般を楽しめた本編。さらにアンコールではマスクマンズが再登場し、アルバム『CULTURE DOG』のリリースツアーを発表。その時間だけInstagramのストーリー撮影OKで、スマホを向けられていることの方が久々の有観客ライブより慣れないと言い、「ラッパーのライブってこんな感じなんだ」と納得していた。ロックンロールの永遠の煌めきを放つ「O.W.A.」と「明日もこの世は回るから」で終演したこの日。クレバーに様々な時代の音楽を料理しながら、キャッチーなメロディに乗る言葉には切なさやムカつきもしっかり内蔵されている。この新しい価値観が損なわれることなくどこまで届くのか、今夏の『FUJI ROCK FESTIVAL '21』出演や、アルバムツアーでも確かめてみたい。

Mega Shinnosuke Official HP

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