MVでは、コンサートホールのステージに一人で立って歌うATSUSHIが映されている。ラスサビで照明が変化した際にバックに映し出される無人の客席には、本来たくさんの観客で埋め尽くされるはずだった数々のライブやコンサート、演者と受け手とのやり取りが実現せずに失われてきた事実が連想される。それ自体は物寂しくもあるが、そうして一人で歌う姿の中にも“人と人との繋がり”の重要さを意識させる表現がある点もまたATSUSHIらしいと言える。

　また、ATSUSHIは5月29日の配信ライブにて『EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2021 "Heart to Heart"』の開催を発表した。“全国のファンの方々に感謝の気持ちを伝えに行きたい”という思いを込め、7月6日の群馬・高崎芸術劇場を皮切りに、47都道府県を回っていくという。こうして全国のファンへ歌とともに感謝を届けるという取り組みもまた、彼の現在のあり方についての誠実な回答のように思う。ATSUSHIの「Amazing Grace」は今後、彼を待つ全国各地のファンに向けて贈られ、そうしてまた新たな実りを生むのだろう。

※1：『週刊EXILE』5月24日放送回

■日高 愛
1989年生まれの会社員。