3次審査では「アーティシズム審査」が行われ、2次審査を通過した30名がそのチャンスに挑んだ。驚くべきは枠の狭さ。はじめは231人いた応募者が、あっという間に30人に。それだけ厳しいと言える枠を掴み取ってきた彼らにまず要求されたのは音楽を通しての自己紹介。表現力に注目する3次審査では、それに加えてグループでのパフォーマンス審査が行われた。30人を6グループに分け、それぞれがパフォーマンスを行うというものだ。5人編成のボーイズグループを作るためのオーディションというだけあり、目指すべき最終的なゴールでどんな輝きを見せることができるか、という点が試されたのだろう。”個”としての存在感も確立しつつ、グループのバランス・調和は乱さない。こうしたソロとは違った活躍の仕方は、グループでの活動を目指す彼らにとって鍵となるポイントと言える。

　また、この3次審査の最初のパフォーマンスは30位から順に行うことに。順位が発表されるというシビアな展開になったが、そこで明らかになったのはSKY-HIによる公正な判断だったとも言える。経験年数や経歴といった事前に知られていた情報は関係なく、経験と順位が比例することのない、彼がその目で見て決めた順位だった。

　そして行われたグループパフォーマンスによる3次審査には、特別ゲストである橘慶太（w-inds.）と工藤大輝（Da-iCE）もオーディション参加者を激励するために登場。ダンス＆ボーカルグループとして日本の音楽シーンを引っ張る存在の両者が、24時間かけて作られた彼らのパフォーマンスを目に焼き付けていく。SKY-HI以外の意見も露わになり、残った30人の中でも特にパッと目を引くメンバーや実力の確かなメンバーが明らかになっていった。全てのグループのパフォーマンスが終わると、その変化や成長にSKY-HIが涙するシーンも見られた。

　第7回では、4次審査に進むことができる15人全員の名前が明かされた。結果としてやはりキャリアではなく、可能性や成長、そしてキラリと光る才能を見出されたメンバーが次のステージへと進むことになった。

　惜しくも新たなステップを踏むことができなかったメンバーにも真摯に向き合うSKY-HIの姿も印象的だった。第一線のアーティストとして、そして人気グループの一員として活躍してきた彼だからこそわかることがある。そして、彼はグループでの活動と個人の活動での葛藤や悩み、そしてそれぞれの適性も理解している。だからこそまっすぐな審査になり、また、彼らの心に寄り添うこともできるのである。

　こうして決まった15人は、次の審査として合宿審査に挑むこととなる。「バラエティ要素はないです。純粋に音楽に関する審査だけが始まります。今できる予習があるとしたら、音楽とどんどん仲よくなってください」というSKY-HIのコメントの通り、おふざけなしのまっすぐなコンテンツであることがわかるだろう。

　SKY-HIは、AAAのメンバーの1人として活動続けてきた傍らソロアーティストとしての活動や創作活動も全てこなす、まさに”クリエイティブ” ”クオリティ” ”アーティシズム”全てを兼ね備えた芸術家だ。今やSKY-HIとしての名を轟かせているが、ソロ活動を始めた際にはメジャーではなく、インディーズとして地道にやってきたのだ。そんな彼だからこそ知り得る音楽業界の様々なこと、そしてそこで生きていくための能力を物差しにオーディションは繰り広げられている。

　主催者、参加者の全てが真摯に音楽と向き合っているこのオーディション。最後に完成するグループはどこまでハイクオリティのものとなるのか。期待せざるをえない今後の展開と結末に注目していきたい。これまでの話もHuluにて配信中のため、見逃していた人もここから追い上げてリアルタイムで応援することが可能だ。

■フルヤトモコ
1999年生まれの大学生。韓国のカルチャーと洋楽、本、映画など。
東京藝術大学 音楽環境創造科在籍。

■番組情報
日本テレビ系「スッキリ」
毎週月～金曜 08:00～10:25
https://www.ntv.co.jp/sukkiri/

Hulu「THE FIRST -BMSG Audition 2021-」毎週金曜20:00に新エピソード追加 
https://www.hulu.jp/the-first-bmsg-audition-2021

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https://bmsg.tokyo/thefirst/