88risingが彼女たちに注目した理由は結局のところ“ミヤシロくん”たちに訊ねてみないとわからないが、YouTubeの88risingのアカウントから配信されている動画やそれについた英文コメント群を見るかぎり、アニメキャラみたいな動作や日本文化へのエキゾチックな興味と、ダンスパフォーマンスへの素直な称賛があるようだ。

　ライブのMCで発表していた通り、88risingからの第1弾として「NAINAINAI」が1月20日にリリースされるのはうれしいニュースだ。ヒップホップビートの新鮮さは言うまでもなく、歌メロ込みでさりげなく複雑に組まれたリズムで4人の息の合ったアンサンブルを楽しませてくれる同曲は、ルッキズムを〈くだらん　くだらん〉と切り捨てる歌詞を含め、海外デビューにはぴったりなのではないだろうか。

　男性客向けにか弱さや愛らしさを強調する日本のアイドルの主流とは異なり、新しい学校のリーダーズが打ち出すのはスキルとエネルギー、そして意志の力である。四肢をちぎれんばかりにブン回す動きのよさに加え、SUZUKAのドスの効いた歌声や色気度外視のいちびった立居振舞もその象徴だろう。セーラー服にまとわりつきがちな（主に年長男性発の）イメージを、彼女たちは力強いパフォーマンスで吹き飛ばしてみせる。その流儀は海外のオーディエンスのフラットな目線を前にしていっそう輝くかもしれない。

■高岡洋詞（たかおか ひろし）
フリー編集者／ライター。主なフィールドは音楽で、CDジャーナル、ミュージック・マガジン、ナタリーほかに寄稿。好きな料理は水炊き。
https://www.tapiocahiroshi.com/

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