石井恵梨子のチャート一刀両断!
TOMORROW X TOGETHER、SEVENTEEN、TWICE......チャート席巻するK-POP勢 “新たな洋楽”として定着している傾向に
参考:2020年11月9日付週間アルバムランキング(2020年10月26日~2020年10月1日)
11月最初のオリコンアルバムチャートは、K-POPの勢いが目立つものになりました。1位がTOMORROW X TOGETHERの『minisode 1 :Blue Hour』で売り上げは3.2万枚。2位がSEVENTEENの『;[Semicolon](Special Album)』で2.4万枚、さらに5位がTWICEの新作輸入盤『Eyes Wide Open: TWICE Vol.2』も1.5万枚のセールスでランクインしています。
TOMORROW X TOGETHERは昨年3月にBTSの所属するBig Hitエンターテインメントからデビューした5人組ボーイズグループ。BTSよりも無邪気な明るさや愛らしさを意識した、デビュー前から注目度の高かったイケメン集団です。ジャニーズでいうところのKing & Princeみたいなものでしょうか。鍛え上げられたダンスと歌唱力とラップ、さらにはいい感じにバラけたキャラクターとそれぞれの自己演出力の高さ。うん、まったく死角が見当たりません。
サウンドもBTSの制作チームがばっちり支えていて、ゴリゴリのヒップホップ系よりはキラキラしたポップス寄りの曲がメイン。母国語よりも英語の曲が多いのは、最初から世界をマーケットに定めているからでしょう。MVを見れば確かにアジアの男の子たちですが、サウンドだけを流していればアメリカやイギリスのボーイズグループとの違いはないように思えます。昔でいう「洋楽」のニュアンスで楽しめるわけですね。
「洋楽」と「邦楽」という言い方が古いなら、「歌詞が重要」か「サウンドや響き重視」か、という聴き方の違いと言い直しましょう。日本のポップスはまず言葉が入ってくる。もちろんメロディと言葉がどれだけ美しく溶け合っているかは重要ですが、歌詞に共感できるか、物語に感動できるか、言葉選びにどれだけ引き込まれたか、そこがリスナーにとっても大きいトピックになります。反面、英語やハングルの場合、大多数の日本のリスナーは何を歌っているのかすぐには聴き取れません(好きが高じて言語を学び始めるファンがたくさんいるのはわかっていますが)。極端にいえば歌詞の内容は後でわかればよく、音として気持ちがいいか、その響きが好きかどうかだけでジャッジできる。どちらが良い悪いの話ではなく、耳と思考回路の使い方が違うわけです。