鈴木瑛美子は音楽シーンに一石投じる新世代のシンガーだ 亀田誠治ら参加曲やカバーで発揮される天性の歌声
それをふまえ、新作EP『After All』の個性豊かな楽曲群だが、やはり一聴して感じるのは圧倒的な声量と歌声自体の魅力だ。たとえば「After All」は、伸びやかで力強い歌声が強烈な印象を残す渾身のバラードソング。静かな始まりの冒頭から、徐々にエモーショナルに勢いを増していく歌が壮大さすら醸し出している。同じ亀田プロデュースながら、前作「フロントメモリー」とはまた違ったシナジーが生まれた、鈴木瑛美子の真骨頂とも言える楽曲だ。
続く「You gotta be」はジャジーでソウルフルなサウンドで、鈴木の新たな魅力を引き出したナンバー。過去を振り返らず、未来に向かう女性の強さが全編にわたって表現されている。3曲目の「Back Home」は往年のオルナタロックの手触りが切ないボーカルと相まって胸を打つクールな1曲。「Hail! Mr. Happy Days」では得意のゴスペルを取り入れながら、つい口ずさみたくなるキャッチーなメロディと豪華なコーラスワークで聴かせるハッピーな楽曲となっている。ひとつのジャンルに固まらない振り幅の広さと、それを可能にするテクニックは、もはや天性の才能と言っていい。強さも弱さも切なさも、そして前向きに進み続けるひたむきさも、さまざまな感情を内包して放たれるその歌声は、一度聴いたら忘れられないほどのインパクトで聴き手を魅了する。
現在、本作のリリース記念として、初のYouTube生配信ミニライブを開催。10月27日にはラストとなる3回目の配信も行われたばかりだ。そこでは『After All』からの新曲のほか、カバーも交えたセットリストを毎回変えて披露。コメント欄で感想をシェアできるのも配信ライブならではだが、彼女の歌声、表現力といった点はもちろん、生で体感してみたいという対面ライブを心待ちにしているファンの声も寄せられるなど、多くの視聴者を魅了していた。
ありあまる才能を武器に、一躍新時代の歌姫と称されるまでになった鈴木瑛美子。これからのJ-POPシーンを牽引する存在となる日もそう遠くはないはずだ。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。
■リリース情報
鈴木瑛美子
配信EP『After All』
2020年10月28日(水)配信
配信はこちら
<収録曲>
M1「After All」
フジテレビ系音楽番組『Love music』10月度オープニングテーマ
※一部地域を除く(地域によっては放送日が異なる場合がございます。)
M2「You gotta be」
M3「Back Home」
M4「Hail! Mr. Happy Days」