宮本浩次、変化を続ける自在な歌唱表現 ソロとエレカシ双方におけるパフォーマンスの振り幅

 9月12日にオンエアされる大型音楽特番『THE MUSIC DAY 人はなぜ歌うのか?』(日本テレビ系/以下、THE MUSIC DAY)に宮本浩次が出演。2018年よりソロシンガーとして本格始動した宮本は、今回エレファントカシマシと共にソロ名義でもラインナップされている。本稿では、ソロとエレカシにおける宮本の歌唱表現の振れ幅や魅力を改めて振り返りたい。

宮本浩次-冬の花

 ソロにおける宮本の変幻自在な歌唱は、今年4月に発表した1stアルバム『宮本、独歩』で堪能できる。「冬の花」では歌謡曲に根差した艶っぽい歌い回しを聴かせ、「解き放て、我らが新時代」ではラップやポエトリーリーディングに接近した口調で野性味溢れる声を響かせ、ダンサンブルなファンクナンバー「きみに会いたい -Dance with you-」ではキザでしなやかなボーカルを乗せる。エレファントカシマシの楽曲にも部分的にはこういった音楽の要素は取り入れられているが、ワンジャンルに特化しているのは珍しい。楽曲の多彩なアレンジ/メロディラインにとってベストな歌唱を見事に引き出しているのだ。

宮本浩次 -「解き放て、我らが新時代」(アルバム『宮本、独歩。』初回限定612バースデーライブ at リキッドルーム盤より)

 その特徴的な声質はカバー曲でも存分に力を発揮する。特に女性ボーカルのバラード曲を歌い上げる際の美しいファルセットは温かな感傷をもたらす。エレカシのスローテンポな楽曲であれば高音を伸ばす際にしゃがれた声を出すことも多いが、2020年4月に『ミュージックステーション』で歌われた松田聖子「赤いスイートピー」や、2019年12月『The Covers』で歌われた小坂明子「あなた」のカバーでは一貫して透き通る歌声を披露していた。楽曲のイメージを実直に届けるために磨かれた丹念な歌唱である。9月16日リリースの最新シングル『P.S. I love you』のカップリングでは太田祐美「木綿のハンカチーフ」を流麗なストリングスと共にカバー。その可憐な歌声に話題が集まること間違いなしだ。

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