「Dear My グッバイ」インタビュー
超特急が語る、グループの“これまで”と“これから” 「目指すところに向けてやるべきことは多い」
記念すべき8月8日=“8号車の日”に、WOWOWの8時間特番『生中継!超特急 BULLET TRAIN 8th Anniversary Special「超フェス 2020」』をオンエア、そして同番組のテーマ曲となる「Dear My グッバイ」を配信リリースする超特急。STAY HOME期間を経て6月10日に行われた『8th Anniversary Special Studio Live「超特急とStand up!!!!!!!!」』の振り返りや気になる新曲についてはもちろん、超特急の“これまで”と“これから”について、現在考えていることを語ってもらった(取材は6月下旬)(古知屋ジュン)。
超特急にしか表現できない楽曲になった
――6月10日に行われた配信ライブ『8th Anniversary Special Studio Live「超特急とStand up!!!!!!!!」』は、春のFCライブ『Toooooo 8』以来、約3カ月半ぶりのライブでしたね。
カイ:初めての配信ライブで、SNSでもたくさん反応をいただけて嬉しかったですね。ただ目の前にそのお客さんがいなかったこともあって、収録の感覚に近いところがありました。
タカシ:そうね。生配信ライブならではの可能性や良さもありつつ、通常のライブとはまた違ったものなんだという風に受け止めました。
ユーキ:ただ、久々にがっつり踊ったから、体力の消耗具合はすごかったですね。「体力落ちてるかも?」って若干焦りを感じてしまって(笑)。
タカシ:あの日は「Stand up」を初披露したのも、大変だった理由の1つかもしれないよね。ダンサーのみんなも普段はやらないラップを披露しましたし、全体的なパワーの消費量がハンパないんですよ。
カイ:あれが結構大きかったよね(笑)。みんな体力を持っていかれてた。
――無観客でしたが、初披露してみた手ごたえはいかがでしたか?
タカシ:SNSを通じての感想はたくさんいただきましたけど、やっぱり反応が目に見えないのがもどかしくて、逆に「どうだった?」って、8号車のみんなに聞きたくて仕方なかったよね。
カイ:リハの段階でダンサーそれぞれが思い思いのニュアンスで歌ってみたらなかなか上手くハマらなくて、そこは苦戦しましたね。「ちゃんと合わせなきゃ!」って。
リョウガ:ラップをしながらパフォーマンスというのがやっぱり大変で、タカシがいつもあれだけ歌いながら踊っているのがどれだけすごいことなのか、痛感しましたよね。
タクヤ:それまでSTAY HOME期間でずっと家にいたから、通常のライブよりもリハの回数が少なかったこともあって「大丈夫かな?」と心配しつつ。でも実際にやってみたら意外と楽しかったし、個人的な手ごたえはあったかなと思います。
リョウガ:あとこの曲では8号車から募集したコールがあるんですが、生配信の翌日のアーカイブ配信に僕らがコメントで参加したときに8号車のみんなが文字でコールをちゃんとやってくれたんですよ。そこは「さすが!」とうれしい気持ちになりましたね。
――ユーキさんはこの曲では振付も担当されましたよね。
ユーキ:今回はサウンド的にもヒップホップテイストだったので、そこに超特急らしさをどう落とし込むかはすごく考えたところでした。歌詞のテーマに沿った形で今まで応援してくださっている人には伝わるような振付にしたかったし、超特急のダンスの基本としてただかっこいいだけじゃなくてダサさも入れたかったし。苦戦しつつも上手くそういったテーマみたいなものが回収できたので、そういう意味では超特急の走ってきた歴史を感じられるような振付、楽曲にはなったかなと思います。
――あの日の全体のセットリストはどう決めていったんですか?
ユーキ:僕が決めさせてもらって、1曲目の「a kind of love」は、また新しいスタートを切るタイミングということで持ってきましたね。全員そろってみなさんの前に登場するのは久しぶりなので、僕らがしゃべっているところも聞きたいかな? と思って企画コーナーを入れさせてもらったり……ああいうタイミングだからこそ、シンプルに楽しんでもらいたくて、そういう雰囲気が出せる勢いがある曲や楽しい曲をチョイスしたつもりです。
――当日にTwitterをチェックしながら生配信を見ていたら、最後の「Burn!」で文字でコールをしている方がたくさんいらして。Twitterのトレンドにも上がりましたし、SNS上でもちゃんと盛り上がりを感じられたんですよ。
タクヤ:あの日はアプリのサーバーが落ちちゃったんで、8号車のみんなにも迷惑をかけたし、僕らも焦りましたけど。
――スタートが遅れるアクシデントがありつつ、その待ち時間にラジオ風のトークを始めてみたり、超特急は火事場に強いイメージがあります。
リョウガ:時間が空いちゃったから「ここでなんかやろう!」とタクヤが言いだして、スタッフさんや演出を担うユーキの意見も聞きつつ、しれ~っと始めちゃいましたね。
タカシ:これはいいのかどうかわからないですけど、ああいうヤバい状況になるとみんな不安を通り越して逆に面白くなっちゃうんですよ。だからああいう形でラジオみたいにしちゃったり、何かしらの方法で着地できる糸口を探そうとする。
カイ:超特急はハプニングやアクシデントはわりとくぐってきているほうですからね。フェスで曲の音声が止まっちゃったりとか(笑)。その状況をどう楽しく切り抜けるか? ということにみんな頭を切り替えちゃうので。
――あの日はみなさんの勝負強さも見せていただきました。ここからは8月8日に配信リリースされる「Dear My グッバイ」について聞かせてください。タイトルが発表されて8号車のみなさんがわりとザワついていましたけれども、おそらくシリアス系の曲が来ると思っている方が多かったと思うんですよね。
ユーキ:(ニヤニヤしながら)それはある意味、大正解ですよ。
タクヤ:歌詞だけを先に公開しようという話にはなっているんですけどね。
――「~グッバイ」というタイトル的に相当悲しかったり切ないストーリーを想像した方も多いんじゃないかと。
カイ:曲のタイトルをそんなに意味深に捉えなくてもいいのにね?
リョウガ:でも、その深読みがファンの方々の一つの楽しみだったりするわけじゃない。
タカシ:8号車のみんなは考察好きやからね。
――私自身も、たとえばこれまでの楽曲でいえば「FLASHBACK」とか「refrain」みたいな切ないタイプの楽曲を予想していたんですが、してやられました! イントロから超軽快に始まって……。
タカシ:僕も最初に音をいただいたときに「曲、間違えたのかな?」って思いましたもん(笑)。できれば最初は曲を聴かずに、まず歌詞カードから読んでもらうことをおすすめします。
リョウガ:「当店のつけ麺を食す際にはまずスープをつけずに、麺だけ味わってみてください」的な、こだわりのラーメン屋のようなアプローチでね。
カイ:今回は候補曲を選ぶ段階から僕らも参加しているんですけど、歌詞についても「“よく聴くといいこと言ってる”歌詞がいいよね」という提案はさせてもらっていたんですよ。
――本気で歌詞カード、3度見しましたよ。
カイ:完成したのを聴かせてもらったら、ちゃんと僕たちの望んだインパクトのあるものになっていたので、「再生するデータ間違えたかな?」って一瞬思ってくれるぐらいの反応がうれしいです(笑)。それが僕たちの狙いといえば狙いなので。
タクヤ:僕も最初に聴いたときには、音のインパクトが強すぎて歌詞の内容がすんなり入ってこなかったんですよ。でも聴けば聴くほどそのギャップがすごく面白くなってきて、超特急にしか表現できない、いい楽曲になったんじゃないかなって。
――歌詞の中には過去を振り返るような表現もあるので、前作の「Stand up」とも近いテーマの楽曲なのかと思っていたんですが。
タカシ:この曲は今年の超フェスのテーマソングになるんですけど、これまでのツアーやライブのテーマソングとは聴いた感触が全然違うし、超特急のレパートリーの中でも今までにないスタイルのものだなと思うんですよ。歌詞については、わりといろんな捉え方ができるんじゃないかと思います。聴いてくださる方それぞれの状況によって聴こえ方が変わるだろうと思うんですね。それこそみなさんがこの曲を考察してくれる解釈次第で印象が変わる曲でもあると思います。
カイ:この曲で描かれていることって、誰しもが人生のどこかで経験している感情じゃないですか。卒業なり、失恋だったり。自分にあてはめて聴いてくれたほうが僕たちとしては嬉しいかな。
ユーキ:よく8号車の反応を見ていて思うんですけど、女性ってわりと歌詞をしっかり読んでいますよね。僕はわりと音で捉える派なので……。
タクヤ:たしかに。男は音派が多いイメージがある。
ユーキ:洋楽だと同じフレーズを繰り返したり、一つ一つの言葉にはあまり強く意味を持たせていない楽曲もあったりするじゃないですか。だから8号車のリアクションがわりと新鮮に映ることもあって。
――なるほど。サウンド面に目を向けると、昔のゲーム風のSEが入っていたり、けっこうレトロな味わいがある曲ですよね。
リョウガ:そうなんですよ。ひと昔前のアニソンっぽさも感じます。アニメ『化物語』の「帰り道」という曲があるんですけれども、それとすごく通じるニュアンスがあって、聴く人によってはすごくなじみ深い曲調でもあると思うんですね。個人的にもすごく好きです。
――アニメのエンディングっぽいというか。
リョウガ:メロディの中にワクワクさせながらもちょっと切ない感じがあったりして。これがクセになるんですよ。
――昔のアイドルソングみたいなコールが入りますけど、そこにもちょっと懐かしさがあって。
ユーキ:ああいうコールが入る曲といえば女性が歌う曲というイメージが強いじゃないですか。それを超特急がやるのも面白いなって思いましたし。あと僕らは8号車のみんなのコールが強みでもあるので、それと組み合わせたらさらに面白くなりそうだなって。
カイ:チアみたいな感じもありますよね。もしかしたらパフォーマンスのときには、ダンサー4人がコールを入れるかもわかりませんけど。
タクヤ:男4人であそこ歌うの!?
タカシ:そこだけポンポンでも持つか?
ユーキ:奇抜さとダサさの配分が絶妙な楽曲なので、現状まだ振りは付いていないんですけど、かなり振り切ったパフォーマンスになりそうな予感はしています。