須田景凪「Carol」、合唱verが際立たせる楽曲の本質と美しさ 柴那典が本人インタビューと共に紐解く
杉並児童合唱団のメンバーたちは、この「Carol」を歌った感想について、以下のようにコメントを寄せている。
「バルーン時代から尊敬していた須田景凪さんの楽曲を、自分の声で歌えることがとても幸せでした。男性ソロパートが自分的には出しにくく、張って出すようにしていました」
「私はソプラノパートを歌っていましたが、『Carol』は後半に行けば行くほど感情が伴って、感情が入っていく曲でした。すごく柔らかく歌いたいなという想いがあったので、オクターブに行くところを、いかに柔らかく優しく伝えるかというのを意識して歌いました」
「『Carol』はとても穏やかな曲なので、高い音も優しく出せるように力をなるべく抜いて歌いました。最初、合唱できると聞いたとき嬉しかったです。バルーンの『雨とペトラ』が好きでした。今回合唱して『Carol』が皆さんにいっぱい歌ってもらって、聞いてもらって、知れ渡って欲しいなと思いました」
また、〈上手に笑えず眠った夜も あまりにぎこちない 声の揺れも 形にならない この心も それでいいんだと〉という歌詞を好きな箇所に挙げ、「自分でも友人関係などで上手くいかなくて泣きながら寝たこともあったけど、それでいいんだと開き直って肯定してくれるところが歌詞と重なりました」と語るメンバーもいた。
『NHKみんなのうた』のために書き下ろされた「Carol」だが、そこに描かれているのは、決して“みんな”の情景ではない。むしろ“ひとり”の胸の中にある形にならない心情を丁寧にすくい上げるような楽曲になっている。だからこそ、聴くことで、そして歌うことで、その人自身と親密な関係を結ぶ曲になっている。
そういう、この曲の持つ大きなポテンシャルを改めて感じる。
■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」/Twitter
■配信情報
「Carol」
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「Alba」
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※映画『水曜日が消えた』主題歌
■関連リンク
須田景凪公式HP