King Gnuのステージが生み出す熱狂とカリスマ性 シーンを駆け上がった2019年のライブ映像を観て

 後半は10月22日に開催された日比谷野外大音楽堂でのライブ。ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONICなど全国各地の数多くの大型フェスで万人規模のライブを経て臨んだ初の野外ワンマン公演だ。

 夏以降、King Gnuの存在感を確固たるものにした「飛行艇」が幕開けを飾る。重心を落としたビートと骨太なギター、雄大なメロディが攻め込んでくる特大スケールのこの曲は、大きく開けた場所で鳴り響く必然性を持つ。スタジアムクラスの壮大な音像が夜の野音をスモークと共に満たしていく様は圧巻だ。

King Gnu - 飛行艇

 季節は秋。「白日」が2019年を代表する曲として語られ始め、バンドの知名度がますます急上昇していた時期だ。しかしこのライブでは「白日」をピークポイントにすることはせず、あくまでこの舞台の1ピースとして演奏するという平熱さもまた彼らのライブの美学だろう。派手な演出を施すことなく、抑えた照明効果で確実に歌を聴かせる。極めてストイックなヒット曲の見せ方だ。

 それと同時に「ここぞ!」の場面では大きくアレンジを加えて、熱量を上乗せするのも彼らのライブの持ち味だ。サンプラー混じりのドラムソロから、スラップベースを轟かせつつ、ギリギリまで期待感を高めた後に一撃必殺のように「Flash!!」が鳴る、この一連の興奮は途轍もない。2018年からライブの起爆剤として活躍したこの曲は強靭な進化を遂げたのだ。

King Gnu - 白日
King Gnu - Flash!!!

 また、爆発力という点ならライブの本編ラストを飾った「Teenager Forever」も格別だ。2020年の年明け、『CEREMONY』のテレビプロモーションで話題を掻っ攫うことになるフリーキーなパフォーマンスが、この時点で炸裂している。インパクト大な井口の挙動はテレビ用の虚像ではなく、ライブでこそ達する極限状態の昂ぶりだ。自分たちの真実の姿を多くの人の目に触れるテレビでも曝け出し、そのうえで国民を魅了する。King Gnuの爆発力には全く嘘がないのだ。その剥き出しの在り方こそ、新時代のカリスマを担うに相応しい。

 大ヒット作『CEREMONY』を携えて行う予定だった初のアリーナ公演を含むツアーは残念ながら開催見合わせとなったが、彼らの勢いは止まらないだろう。なぜならKing Gnuのライブを知ってしまった観客は常にその興奮を渇望し、2020年に目撃するはずだった新たなファンたちもまた、溢れんばかりの期待を胸に彼らのライブを待っているからだ。コロナ禍の状況が明けた先でKing Gnuがどんなステージを見せつけてくれるのか、楽しみでならない。

King Gnu - Teenager Forever

■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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