V6のライブパフォーマンスを観て感じた驚き 連日公開されるMVにも表れる音楽性の幅広さ

 4月17日よりavexの公式YouTubeチャンネルにV6のMVやドキュメンタリー、ライブ映像が連日投稿されている。その中でも2017年に行われたライブツアー『The ONES』の映像は必見だ。約2時間20分のライブ映像がほぼフル尺で公開されており、テレビの音楽番組やバラエティ番組とは違うメンバーの姿を観ることができる。アイドルとしてもアーティストとしても一流のパフォーマンスなのだ。

【期間限定】V6 / LIVE TOUR 2017 The ONES

 V6のパフォーマンスを観て驚くことがある。それはメンバーの歌唱力とダンスの上手さだ。特に坂本昌行はリーダーとしてグループをまとめるだけでなく、歌唱面でもグループを引っ張っている。音域が広く声量もある。特に「Answer」で一瞬見せる叫ぶようなボーカルには圧倒させられる。

 ボーカリストとしては井ノ原快彦にも凄みを感じる。ファルセットは美しく、ビブラートも使いこなすなど、高い技術力を持っている。しかし彼のボーカリストとしての最も大きな魅力は、抑揚のつけ方が上手く表現力が豊かな部分だ。感情を歌に乗せることが得意に見える。そんな感情に訴えてくるような歌唱だからこそ、歌声が胸に響く。

 年上メンバーの20th Century(通称:トニセン)である坂本と井ノ原は、いわゆるアイドル的な歌唱ではない。シンガーとしての技術力や表現力を感じる歌声だ。しかし長野博は2人と比べるとアイドル的な歌唱に感じる。甘く色気のある歌声が魅力的だからだ。長野の歌声によってV6のアイドル的な魅力が保たれているように思う。

 年下メンバーのComing Century(通称:カミセン)はより個性的な声質や歌唱方法が特徴だ。例えば、森田剛は吐息を含む色気のある歌い方をする。伴奏よりも遅い速度で歌う「タメ」という技術を使うことが多いが、この歌唱は全体のリズムを崩す危険もある。しかし間の取り方が絶妙なので崩れることがない。リズム感が良いのだ。それによってグループ全体の歌唱に良いアクセントを生んでいる。

 少年のような声質の三宅健の歌声も良い。グループの中で最も個性的な声質に感じる。グループに詳しくない人でも彼の歌声を聴くと「これはV6の歌だ」と判断する人は多いと思う。役者の仕事も多い岡田准一は演技の経験を歌にも生かしているように思う。演技をするときと同じように、楽曲の世界観を大切にして、それに染まる歌唱をする。

 メンバーの歌声は全員違うタイプで個性が強い。しかし全員がユニゾンで歌うと美しいハーモニーになる。バラバラな個性なのに1つにまとまるのだ。また、ダンスも綺麗に一つにまとまっている。V6のダンスは大きな動きや派手な動きは少ない。しかし一つひとつの動きがしなやかで美しい。そして全員のダンスのフリがずれることなく綺麗に揃っている。結成以降メンバーが変わらず信頼関係を築き続け、技術を磨いてきたからできることに思う。これが20年以上第一線で活動し続けるグループの凄みだ。

 『The ONES』でも、グループのパフォーマンス力を信頼しているからか、派手なライブ演出は少ない。レーザー照明や映像演出でメンバーのパフォーマンスを引き立てる演出が中心だ。演出で魅せるよりも、メンバーのパフォーマンスを魅せることに重点を置いているライブに感じる。

 バラエティでは6人がわちゃわちゃと盛り上がって楽しんでいるイメージがあるV6。メンバーの年齢差もあるからか、仲の良い兄弟のような雰囲気は他のジャニーズグループではまり見られない姿に思う。それは11年間放送された人気番組『学校へ行こう!』のような全員が出演する番組だけでなく、現在放送中の『アメージパング!』のように2人ずつ出演する番組でも彼らの雰囲気は変わらず、明るさや親近感を感じる。

 しかしライブではクールでは洗練されたパフォーマンスで魅了する。楽曲は代表曲の「WAになっておどろう」のような明るい曲だけではない。

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