『SINGULARITY』インタビュー

Lead、アルバム『SINGULARITY』で臨んだ音楽的挑戦「僕らならではの“特異点”を出し続けていきたい」

青春から常夏まで……様々なテーマに挑戦

――その次の輝さん作詞作曲の「Just Love You ~青春白書~」は、サブタイトルに引っ張られて、海外ドラマみたいなイメージが強いですが……。

鍵本:サブタイトルはちょっと遊び心で付けたんですけども、狙ってますよ、僕は(笑)。映画やドラマを見ていてふと「初恋って素敵だな、キュンキュンくるな」「ずっと青春時代が続けばいいのにな」と思って、初恋について書いてみようと思い立って。曲自体はもともと作っていた曲ではあったんですけど、Leadのアルバムにちょうどいいかなと。

――みなさんは思春期真っ盛りのタイミングにデビューされましたけど、こういう初恋をストレートに描いた楽曲って、意外に今までの作品にはなかったですね。

鍵本:そうですね。初恋を描くということで、歌詞では回りくどい表現はしないで頭の中に浮かんだ言葉でそのまま紡いでいこうというアプローチで。きっと学生時代はそうだったと思うし、思いがうまく伝えられなくて、好きな子につい意地悪しちゃったりとか……そういうもどかしい感じを、そのまま歌詞にしていきましたね。

――伸也さん、敬多さんは、輝さんの歌詞をどう受け止めたんですか?

谷内:まず、輝が初恋した時はこういう感じだったんだろうなというのを知れて、面白いなと思って。初恋って誰もが経験することだから、すごく懐かしい感覚もあるじゃないですか。いろいろ思い出しながら「俺、汚れちゃったのかなあ?」とか考えたり(笑)。でも情景がすごく浮かびやすい歌詞だったので、すんなり入っていけた感はありましたね。

古屋:淡くて甘酸っぱい感じがたまらなかったですね。思い出フェチ、青春フェチとしては。小学3年生の時を思い出す感じで。

――小3限定ですか?

古屋:僕は小3くらいだった気がするんですけど、初恋が。

鍵本:ませてるねえ~。

古屋:え? 早いかな?

谷内:まあでも、僕もそれぐらいやったかな。

古屋:目が合って笑い合って、逃げてっちゃうみたいな(笑)。懐かしいですね。

――甘酸っぱいエピソードで。この曲はピアノの音色がまた、いいですね。

鍵本:菊池亮太くん(@komuro_metal)は今YouTube界隈を騒がせているプレイヤーで、もともと僕のソロライブにサポートとして参加してもらった方なんですよ。エモーショナルなサウンドにしたかったので、この曲がアルバムに入ると決まった瞬間にすぐ菊池くんに連絡しました。

谷内:アルバム特典で収録している「Say Good-bye Say Hello」のライブバージョンも菊池さんに弾いてもらって、すごくよかったので。彼が弾いてくれたのは大きかったですね。

【LIVE】Say Good-bye Say Hello / Lead [Lead Upturn 2019 ~Sync~]

鍵本:1、2回のLINEのやりとりだけでここまでのものを上げてくるので、その仕事の速さも含めて、もう大好きなんですよ(笑)。やっぱり一度ライブを一緒に作っていることもあって。

――そして9曲目の「MAGIC MAGIC MAGIC」はファンクの要素も入ったシティポップで、これまたLead楽曲としては変化球ですよね。

谷内:口笛の音をずっとループさせてるっていうのも、これまでのLeadの楽曲にはなかった要素ですね。僕はこういう、口笛が上ネタになってるような洋楽の曲がけっこう好きなんですよ。この口笛もちゃんとレコーディングしたんですけど。

――誰の口笛なんですか?

谷内:僕が吹いてます。シングル(『H I D E and S E E K/サンセット・リフレイン』)の「midnight free way」でも録りましたけど、わりと披露する機会があって。

鍵本:口笛奏者として日の目を見る日が。

古屋:ラッパー兼口笛奏者やね(笑)。この曲の仮歌を、歌詞も書いてくださった辻村さんが歌ってくれたんですけども、そのバージョンも聴いてほしいくらい素晴らしかったんですよ。メッセージ性のある歌い方をされていて「この人みたいに歌えたら」という気持ちもありましたね。最近はこういう、歌詞がスッと入ってくるような曲が好きなんですよね。DAZBEEってアーティストさんもすごくいいなあと思って聴いてるんですけど。なんていうのかな、歌詞というよりも言葉に近いというか。

――なるほど。全体のレコーディングには時間がかかりました?

鍵本:「さあ歌うぞ」みたいな気合いがあまり歌に出ちゃいけない、作り込みすぎたらよくない曲だと思ったので「どうやったら脱力感出せるかな?」という部分をテーマにレコーディングしていって。メロディや譜割を覚えるだけにして、なるべく練習せずにスタジオで感じたまま歌ってみようか、みたいな。言うてもテイク数というかトラック数はかなり録ったんですよ。主メロに対してファルセットで1オクターブ上に重ねてみたり、そういうギミック部分を録るのがわりと大変でしたね。

谷内:苦労しましたけどそういうギミックの部分があるからこそ、脱力感を出せたとも思います。

――そしてその後の「サンセット・リフレイン」。昨年末オンエアのハワイを舞台にしたドラマ『アロハ・ソムリエ』のタイアップ曲でしたね。サビのファルセットの入れ方に微量のハワイアンっぽさを感じます。

サンセット・リフレイン / Lead【Music Video】

谷内:振りにも“アロハポーズ”を交えてますしね。

鍵本:この曲にはウクレレを入れたり、ハワイに寄せ切る形でも面白かったかもしれないですけど、結果的にこれで良かったなと思っていますね。アルバムでの曲順も「Summer Vacation」とこの曲を引っ付けるんだろうなって思うじゃないですか? そこをあえて離しました!

――夏ソングで固めない、と。

鍵本:そこはこだわりですね。

谷内:ハワイを舞台にしたドラマの楽曲をやらせていただけることになって、「でも真冬のリリースになるし、どう見せよう?」という戸惑いはあったんですよ。でもそこを逆手に取って、Leadは夏にデビューしたグループで夏に活発に動くので、僕らの夏男感をより推し出すチャンスになるかな? と。

――Lead=常夏のアーティスト的な感じで。

谷内:TUBEさんかLeadかみたいな感じで。

古屋:いつか言われたいねえ。

――TUBEに負けず劣らず爽やかなこの「サンセット・リフレイン」があって、今やライブの定番曲といった立ち位置の「ANTHEM」という流れで。ライブでフックになるようなクオリティのこの曲を、メンバーの皆さんの自作で作れるようになったというのはリスナー目線でも感動的でした。

鍵本:嬉しいですね。最近までライブではこういう立ち位置の曲として「It's My Style」をゴリ推ししてきたんですけど(笑)、もう一つ違ったアプローチで魅せたいと思って作った曲でもあったので。もともと「Summer Vacation」のカップリング曲でしたけど、Leadがこれからフェスやイベントに出させてもらえるチャンスにはテーマ曲的な扱いにしたいなと思って、改めてアルバムに収録した感じです。

――リリースされて間もないこの曲を去年夏のツアーで披露されたときに、Leadersのみなさんが「体に沁み込んだ曲!」みたいな感じで大合唱していた記憶があって。

谷内:すごくいい反応をしてくれたのが嬉かったなというのは覚えていますね。アンコールで披露して、ライブのエンディングにふさわしい一曲になったなというのを肌で感じることができたのもまた嬉しくて。

「ANTHEM」

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