「Haunter」インタビュー

トラックメイカー/シンガー yonkeyが語る、他者とのコラボで音楽を作る喜び 愛用機材の紹介も

yonkeyが愛用している機材について

ーー普段、曲作りはどんなふうに行なっているのですか?

yonkey:以前はひたすらパソコンをいじっていたんですけど、今はなるべくそういう時間を減らして頭の中である程度構築してからパソコンにアウトプットするようにしています。とにかくアウトプットすることよりも、インプットに時間をかけていますね。Netflixを観たり、いろんな音楽を聴いたりして、どういうふうに仕上げるかを頭の中でスケッチしています。

ーーアイデアが固まる前からパソコンに打ち込んでしまうと、それ以上アイデアが広がりにくいというか。

yonkey:そうなんですよ。パソコンはあくまでもアウトプットのツールであって、そこで0から1を生み出すよりも、自分が何をやりたいかをちゃんと固めてから使った方がいいんじゃないかと今は思っています。なので、シンセやドラムの音色、メロディの動き方まで細かくシミュレーションしていますね。

 あと、メロディは楽譜に書き起こしてみることもあります。そうするとメロディの動きを視覚で判断できる。たまに、ヒット曲のメロディを譜面に起こしてみることもありますね。「なんで、ここで切なく聞こえるんだろう?」とか視覚的に分析してみたり。

ーーそれは面白いですね。ところで今日は、作曲で使用している機材を持ってきてくれたんですよね?

yonkey:はい。ノートPCとROLI/BLOCKSと、AbletonのMIDIコントローラーを持ってきました。これらは普段、移動中に使っている機材です。荷物がかさばる時は、スマホとROLI/BLOCKSだけで曲を作ることもありますね。ROLI/BLOCKSは見た目も好きですし、音色も面白くて。これをそのまま本チャンで使うことはないんですけど、結構直感的に動かせるところも気に入っています。パッドに指を置いて、押す力を加えてみたり、上下左右にドラッグしてみたり。普段とは違う指の動かし方によって、普通の鍵盤では思いつかないアイデアがパッと出てくるんです。インスピレーションを得るためのツールの一つとして、ちょっとしたガジェット感覚で使えるところも重宝していますね。

ーーAbletonのMIDIコントローラーは、もう少し細かい編集もできる機材ですね。

yonkey:ソフトもAbleton Liveがメインで、apple Logic Proもたまに使っています。そこでループを作ったり、さらにEQをかけたり。数値の細かい調整などは、コントローラーと連動させたツマミを回したりすると、あまり数値に捉われずアナログ感覚で操作できるのが気に入っています。普段は88鍵のキーボードを使っていますが、あえて小さい鍵盤を使ってみるとアイデアが湧いてくるんですよ。

 ちょっと前に読んだスティーブ・レイシー(The Internet)のインタビューで、彼が昨年リリースしたアルバム『Apollo XXI』を「ほとんどGarageBandで作った」と話していて。ドラムに至っては、スマホのGarageBandで打ち込んだらしいんです。制限された中で、あんないいアルバムが作れるんだと驚きました。自分も、どんな環境でもいいものを作れるように心がけています。

ーーそれこそ、前回「ダウナーラブ」でコラボしたAAAMYYYさんも携帯の作曲アプリで曲を作っていますしね。

yonkey:AAAMYYYさんとコラボしてから「やっぱり機材だけじゃないんだな」って強く思いました。頭の中で考えてからインプットするようになったのも、制限の多い機材でトラックメイキングをするようになったのも、実はAAAMYYYさんの影響なんですよ。

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