オランダが産んだ歌姫！ ＜Roc Nation＞も惚れ込んだニコール・バス

　自国オランダのコンペティションやオーディション番組を通じてキャリアを積んできたニコール・バス。ブルーノ・マーズ「Just The Way You Are」のヒットで知られるベテランプロデューサーのニードルズの目に止まったことで2017年に＜Roc Nation＞と契約した彼女が、USでのデビューアルバム『Kairos』を発表。ジャケットは若き日のチャカ・カーン風だが、ダイナミックかつブルージーな枯れ声で時折レゲエのフロウも織り交ぜるスタイルは、自身がもっとも影響を受けたというローリン・ヒルの直系か。ビルボードの“Adult R&B Songs chart ”で首位を獲得した「You」は、ウータン・クランのクラシック「C.R.E.A.M.」の大ネタ使いで、リミックスには本家ゴーストフェイス・キラーも召喚（隣国ドイツには、レイクウォン「Heaven & Hell」使いの楽曲で本人を招いたジョイ・デナラーニも）。オーセンティックなサンプリングビートが心地いい、今年屈指のレディソウル盤だ。

波乱万丈の人生を歌う若き才能、レイトン・グリーン

　コダック・ブラック「Roll In Peace」のリメイクがじわじわと話題を呼び、ミーゴスやリル・ヨッティー、ステフロン・ドンら今をときめくヒップホップアクトが所属する＜Quality Control Music＞に初のR&Bシンガーとして加入した、イリノイ州出身のレイトン・グリーン。待望のEPとなる『Tell Ya Story』は、複雑な家庭環境の経験を吐露した「Blame On Me」や悲痛な失恋曲「Never Knew」など、ヘビーなトピックも取り上げた全7曲を収録。声質は異なるものの、影響を受けたアーティストにキーシャ・コールを挙げていたのも納得だ。また今夏リリースされたレーベルのコンピレーション作では、シアラと50セントによる「Can’t Leave ‘Em Alone」（2006年）をリル・ベイビーらとともにリメイクし、アップテンポでも十二分に映える可憐なボーカルアビリティを発揮。今後の成長にも要注目の才女だ。

◾️Yacheemi
読み方はヤチーミ。ダンサーとして国内～ジャマイカでバトル・コンテストでの入賞を経験し、ひょんなことからヒップホップ・グループ「餓鬼レンジャー」の正式メンバー兼マスコット「タコ神様」（要検索）として加入した異例のフリースタイラー。ナイトクラブを主戦場にしながら、DJ・ライターとしても駆け出しで活動し、バンド「G. RINA & MIDNIGHT SUN」ではダンス＆コーラスも担当するなど、各所で擬態を続けている。