ヴィジュアル系次世代を担う奇才? 東のDADAROMAと西のザアザア、共通点と人気の理由

 3つ目はV系ファンの心を掴んで離さない“V系らしさ”だ。ボーカルの声質が低音豊かで儚さと憂いを含んだV系らしいものであることもそうだが、おそらくV系ファンが求めている、傷ついた自分のそばにいてくれる音や、現実を忘れさせてくれる色気とグロテスクさを含んだ異世界感を彼らは体現している。手が届きそうなほどリアルなのに、どこかこの世のものではないような彼らの存在感は他バンドと大きく差をつけるフックになっている。

 これら3つは過去に大きなステージに上り詰めていったDir en grey、MUCCといった先人達と共通しており、近年話題に上がり一歩上の段階へ上がっていったアルルカン、DEZERTなどとも共通しているように思う。“売れる要素”ともいえるこれらを兼ね備えた2つのバンドが時を同じくして東西で現れ、切磋琢磨している。どちらのバンドも作品を出す度に進化しており、特にフロントマン2人の歌の威力は跳ね上がり続けている。

 どちらもフロントマンに奇才を擁したバンドの東西対決。いずれ後を追うバンド達や先人達へも飛び火し、シーン全体を巻き込んだ群雄割拠の大乱戦へと発展していくことだろう。

■タンタンメン
自身の活動から得た経験を元に音楽記事を執筆する元バンドマンのフリーライター
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