DEAN FUJIOKA、星野源らも評価する理由 “最適な音”への探究心とグローバルな背景から考察
彼の音楽において、タイアップ作品もまた新たな“刺激”を求める上での重要な要素のひとつなのだろう。実際に、前述したインタビューでは「新しいものには、あくまで“自分の中での新しいもの”と、技術の進歩などによって生まれる“世の中にとって新しいもの”があると思いますが、僕はその両方が好きなんですよ」と、その間口の広さを示す言葉が見られた。
これは、2016年10月リリースのアニメ『ユーリ!!! on ICE』(テレビ朝日系)主題歌「History Maker」なども同様だろう。アニソン特有のフォーマットに、ワルツ調で奏でられるオーケストラ、さらにはブロステップやトロピカルハウスなどのダンスミュージック要素を落とし込んだ、ミクスチャーサウンドが特徴的だ。アイススケートをテーマとした『ユーリ!!! on ICE』の世界観にも相応しい。同楽曲もまた、自身の好奇心から作品に対する“最適な音”を追求したひとつの証明なのかもしれない。
そして、DEAN FUJIOKAが持つ大きな魅力の一つは、彼自身のグローバルな成り立ちにあるのだろう。ここまで記した通り、彼の探究心は楽曲の新規性にも強く結びついている。その姿勢はまさしく、アメリカや中華圏、東南アジアなどを渡り歩いてきた、彼ならではの経験に由来しているのかもしれない。DEAN FUJIOKA自身がミクスチャーな存在だからこそ、その音楽はミクスチャーな音楽ジャンル=“DEAN FUJIOKA”として成立しているのだ。
「Maybe Tomorrow」もまた、彼のアーティスト活動において新たな一面を開拓する楽曲になるはずだ。『僕の初恋をキミに捧ぐ』では、ドラマ本編にどのような彩りを添えるのだろう。そんな期待感を膨らませつつ、今夜の『ミュージックステーション』でのステージを楽しみに待っていたい。
(文=青木皓太)