ケツメイシの勢いが止まらないーー好調の理由を新作、電車広告、メットライフドーム公演から考察
新作アルバム『ケツノポリス11』のリリース、全10両をラッピング&車内広告をケツメイシ一色にジャックした話題の電車広告、7万人を動員したドーム公演2Daysの成功、来春ツアーの発表など、2018年も国民的グループ、ケツメイシの勢いが止まらない。
10月24日にリリースした、通算11枚目のオリジナルアルバム『ケツノポリス11』が、本日10月30日発表の「オリコン週間アルバムランキング」で初登場1位を獲得した(11/5付:集計期間10月22~28日)。2011年に発売された『ケツノポリス7』以来7年ぶり、通算6作目の1位獲得となる。iTunes、LINE MUSICなど各種デジタルランキングでも、軒並み1位を総ナメしている。
なぜいまケツメイシなのだろうか? その答えは純粋に楽曲力の高さにある。毎作同じ構図で撮影されたメンバー写真がジャケットに使われた、揃えたくなるような統一性のあるデザインはそのままに、アルバム『ケツノポリス11』では、カラフルに変化してきたジャケットが1周して1枚目のアルバム『ケツノポリス』と同じホワイトとなった。原点回帰を感じる、誰しもの“人生のテーマソング”となる良質なナンバーが収録された1枚だ。そもそも、アルバム『ケツノポリス』シリーズには、“人生賛歌”という人間の根源と向き合ったような魅力がある。酸いも甘いも知る、RYOJI(Vo)、RYO(MC)、大蔵(MC)、DJ KOHNO(DJ)という人間力の高いメンバーが贈る、人生に前向きな影響を与えてくれるポジティブなパワー。生きる力をもらえるポップな作品集であることが、今なお彼らが第一線で評価され続けている理由だろう。
初のドーム公演にして2Days開催の『ケツメイシ LIVE 2018 お義兄さん!! ライナを嫁にくださいm(_ _)m in メットライフドーム』は、合計7万人分の席が即完。ケツメイシはライブ動員力がとにかくすごい。ここ数年、ファンクラブ会員数とともに右肩上がりで上昇中だ。最近は、30代、40代になったファンが子連れで参加する姿も増えている。その理由のひとつに、映画『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』主題歌に起用された「友よ 〜 この先もずっと・・・」のスマッシュヒットがある。友人を思う熱い歌詞、〈何十年先も 君を友達って思ってる 辛い時は 何でも話してよ いい事ばかりじゃない この先の僕らの毎日に これだけはずっと言える 本当ありがとう…友よ〉というパワーワード。同曲は、友人との関係性を熱い感情を込めて歌いシンガロングできる四つ打ちポップだ。ドーム公演でも披露され大いに盛り上がった。
さらに、「逆転の発魂」では、〈材料がないなら 作ればいい 才能がないなら 笑えばいい 感情がないなら 歌えばいい それが君のとりえになるだろう〉と歌い、2007年にリリースした名曲「トレイン」では、〈夢見る限り レールは伸びる 加速する度に不安もよぎる 今何処で 何処へ 向かってるかは 分からなくていい 夢詰まってる〉と、道しるべを示してくれる刹那ポップな展開に鳥肌がたった。沖縄県・CLUBケツメイシ限定でリリースされた「カンパイの唄」では〈なあ、そう言えばアイツ何してる? 俺らはあと何回一緒に飲める? 遠く離れても 乾杯さ 心で 戻って 揃って また皆んなで飲もうぜ〉など、ケツメイシの楽曲は日常生活に寄り添う世界観や歌詞を持つため、常に自分ごととして受け止められる。言わば、子どもたちにも伝えたい情操教育にも通じるような側面を持つ。
その反面、ライブでは年長メンバーRYOによる、オルタナティブな天才的MCに心を震わされる。今回も、時事ネタや、随所に盛り込まれた下ネタがスリリングなのだが、往年の昭和ドリフ感覚とでも言えばいいのだろうか。嫌な気持ちがせず、なんともホンワカするのだ。ライブパートでも3曲に一度は、そんなお楽しみトーク部分を用意することで、誰一人も置いてけぼりにしない飽きさせることない展開を徹底しているのがケツメイシ流だ。