TWICE、Superorganism、Now United……エンタメ業界における多国籍グループの波
そして今、この多国籍化に新たな波が訪れようとしている。それが2017年に始動したダンスボーカルユニット、Now Unitedだ。このグループは90年代にSpice Girlsのマネージャーを務め、2000年代に入るとアメリカで一大ムーブメントを巻き起こしたオーディション番組『アメリカン・アイドル』にクリエイターとして携わったサイモン・フラーがプロデューサーとなり、レディ・ガガのヒット曲「Just Dance」「Poker Face」などを手がけた音楽プロデューサーのレッドワンが楽曲を担当。2016年から世界14カ国でメンバーオーディションが行われ、アメリカやカナダ、イギリスといった英語圏のみならず、ロシアやヨーロッパ、南米、アジア圏など国籍の異なる平均年齢17.5歳の男女14人が在籍する。
Now Unitedは現在、2018年内の本格デビューを前にSNSを駆使したプロモーション活動や、世界各国を訪れて現地のファンと直接コミュニケーションを図るワールドツアーを実施しており、その一環として7月中旬にはここ日本も訪れている。幸運にも、筆者はこの来日時にアジア圏出身メンバーのヒナ(日本)、ヘユン(韓国)、クリスティアン(中国)、ベイリー(フィリピン)に話を聞くことができた。
「テレビのオーディション番組に出演していました」(クリスティアン)、「地元でアーティスト活動をしていました」(ベイリー)、「振付師をやっていました」(ヘユン)など、彼らの多くはNow Unitedのオーディションを受ける前から各本国で芸能活動を行なっていた。しかし、「世界で活躍するダンサーになりたかった」(ヒナ)、「世界的に成功して、東洋と西洋の架け橋になりたかった」(クリスティアン)という言葉からもわかるように、枠に収まらない活動を目標にこのプロジェクトに参加。「夢は世界中を旅して、歌って踊ること」(ヘユン)の言葉どおり、早くもその夢が現実のものとなっている。
BTSをはじめとした、近年のアジア圏アーティストのアメリカでの成功について尋ねると、「Now Unitedもまさにそこを目指しています」(ヘユン)、「レッドワンというプロデューサーが、まさにそれを体現している人ですし」(ベイリー)、「メンバー全員が違う国籍。それぞれの国の良さが出たサウンドをミックスした音楽を目指したい」(ヒナ)との声も。それを実現させるのに、今もっとも近い存在がNow Unitedかもしれない。そして、「アジア人の僕たちにとっては、西洋で成功する大きなチャンス。このグループを通じてアジアの文化をもっと世界中に広めたい」(クリスティアン)という言葉のように、この多国籍グループに在籍することで彼らがBTSに続く成功を収めることができるのか、今後の動向を注目しておきたい。
SuperorganismもNow Unitedも、どちらもインターネットを効果的に活用しているイメージが強い。今や日常生活に欠かせないものとなったインターネットにより、海外のエンターテインメント界がより身近なものへと一変したことで、エンタメ界の多国籍化は今後もさらに多様化していくことだろう。
(文=西廣智一)