『w-inds. Fes ADSR 2018 -Attitude Dance Sing Rhythm-』

w-inds.が初主催フェスを通して伝えた、ダンス&ボーカルグループの魅力と可能性

MYNAMEコラボ

 そしてこの日唯一、海外から参戦したのが韓国のMYNAME。グループとしてはしっとりと聴かせるバラードからバキバキに踊るダンスナンバーまで、振り幅のあるステージングで魅了。w-inds.とは以前から親交があるということで、コラボ曲「Long Road」(2003年)での泣きの歌いまわしには、w-inds.へのリスペクトを強く感じさせるものがあった。

FAKYコラボ

 この日の出演アーティストには海外にルーツを持つ面々が多かったのだが、続けて登場したFAKYもアメリカやニュージーランドなどにルーツを持つメンバーを含む国際派ユニットだ。高いダンススキルや歌唱力でオーディエンスを驚かせたこの日のダークホースの1組でもあるが、w-inds.とのコラボ曲「Feel The Fate」(2001年)では初期w-inds.楽曲との親和性を感じさせるキュートなダンスやステージングで、フレッシュな魅力を振りまいていた。

GANMIコラボ

 ここから「Again」(「We Don't Need To Talk Anymore」C/W曲)など数曲を挟んでトリを飾ったのが、国内外から熱い注目を集めるダンスクルー・GANMI。w-inds.やLeadをはじめ、国内外のアーティストのバックダンサー/振付師としても活躍する19人組で、当日はサッカーのワールドカップ日本代表のユニフォームで踊りまくるなど、エンタメスピリッツ全開のステージを展開。w-inds.とはメンバーのkooouyaが振付を担当した「New World」(2009年)でコラボし、間奏ではスリリングなダンスバトルを見せるなど、お祭りらしい賑やかなステージでフェスが幕を閉じた。

DOBERMAN INFINITY

 このほかに、スケジュールの都合でセッションは叶わなかったが、メンバーのSWAYがw-inds.の千葉涼平、龍一の後輩という縁で出演が決まったDOBERMAN INFINITYのステージも、「SAY YEAH!!」など夏らしさ全開の楽曲連発で白熱。House of Painのカバー「JUMP AROUND ∞」には、龍一、涼平やLeadの谷内伸也ら複数の出演者も飛び入り参加するという一幕も。

 「実力のある人たちとみんなで一緒にムーブメントを作っていきたい」「将来はアジアでもフェスを開催してみたい」(慶太)など、今後のさまざまな野望をコメントしていた3人。w-inds.がデビューからの18年で紡いできた曲たちがリリース時のトレンドの先端を走りつつも聴きやすく耳に残るものであること、ダンスにおける実験性やチャレンジングな姿勢、さらに現在アーティストとして脂ののってきている20代~アラサー世代への影響力の強さなども伝わってきて、非常に感慨深い一夜となった。ダンス&ボーカル系グループのファンは事務所やレーベルで箱推しするケースも多く見られ、ともすればその括りの中でガラパゴス化している印象もあるのだが、こういった開かれたフェスがシーンの新たな起爆剤となることを切に願っている。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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