2018.06.24 12:00

BLACKPINK、なぜワールドワイドにブレイク？　サウンドの最先端をいく新作『SQUARE UP』分析

　しかし本作は、単にヒップホップを全面に出しているだけではない。例えば2曲目の「FOREVER YOUNG」は一見普通のダンスポップに聴こえるかもしれないが、綺麗なメロディがより新鮮に感じられるのはEDMの一種である「ムーンバートン」のリズムのおかげだ。若い時代を悔いのないように楽しもうという歌詞も、トラックから漂うティーンポップの香りも、ムーンバートンのリズムとドロップのアレンジによって普通の可愛いポップスではないBLACKPINKならではの個性を引き出している。3曲目の「REALLY」は軽く頷けるようなヒップホップ調のリズムに愛を求める歌詞で、他の収録曲とは違った柔らかいカラーを持つ。そして最後のトラック「SEE U LATER」は爽やかで王道的なK-POPかと思いきや、ブレイクダウンのパートではタフなビートで空気をひっくり返す。「可愛いが、それだけではない格好良さもある」という意味でBLACKとPINKを合わせて付けられたグループ名が、しっかりと感じられるトラックだ。

　このようにアメリカの最先端トレンドの要素を盛り込んだ楽曲から、柔らかさを感じる楽曲までバランスよく収録されたBLACKPINKの1stミニアルバム『SQUARE UP』は、これまで彼女たちが5曲のシングルで見せてきた様々な魅力を盛り込んだ集大成とも言える。トラップヒップホップやムーンバートンなど今の時代を感じさせるリズム、オリエンタルなシンセの使い方、そしてK-POPならではの特色などを絶妙に組み合わせることで、グループの個性を最大限に魅せているのだ。すでにトップグループの座に就いているBLACKPINK。しかしこれが彼女たちにとってはまだ序章であることを忘れてはならない。優れたビジュアルと最先端のサウンドを武器に持つBLACKPINKは、今後もBLACKとPINKを自在に組み合わせながら世界中の人々を魅了していくことだろう。

■soulitude
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。

■鳥居咲子
韓国ヒップホップ・キュレーター。ライブ主催、記事執筆、メディア出演、楽曲リリースのコーディネートなど韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。
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