BTS(防弾少年団)、欧米圏での人気拡大の理由は? ネットを通してつながる“ファンドム”が鍵に

 ではなぜBTSはこのような献身的なファンドムを、欧米エリアでも一定の規模で形成できたのだろうか。

 まず、以前より言われているバイラルマーケティングの結果的な成功が挙げられるだろう。BTSは大手事務所に所属しているわけではないため、当初TVでの露出に限界があったと考えられる。故に、ウェブコンテンツに力を入れざるを得なかったのかもしれないが、ウェブコンテンツは多言語化がファンの手で行いやすいため言語の壁を超えて少ないタイムラグで広がりやすい。ファン字幕の投稿が可能なV Liveでは1週間以内に15カ国語以上の字幕が投稿されており、これは他の人気グループと比較してもかなり多い方だ。

 しかし、それよりも大きいのはBTSがデビュー当時から毎年北米で何かしらのライブを行っていることではないだろうか。K-POPアーティストの来訪が少ない欧米のK-POPファンシーンでは、アメリカを中心に毎年開催されるKCONの存在が大きい。KCONはCJ E&Mが主催する海外向けのK-POP&Kカルチャー紹介イベントで、2017年度はロサンゼルスだけで3日間で8万5千人を集客するまでに成長した。イベントの目玉は複数の人気アーティストが出演するライブ公演であり、ここで初めて生でK-POPアーティストを見る人も多数いるはずだ。BTSはデビュー以降、2014~2016年のロサンゼルス、2016年のニュージャージー、2017年のメキシコシティと欠かさず出演しており、その他にも2014~2015年にはSCツアー、2015年のRed Bulletツアー、2017年のWINGSツアーと、定期的にアメリカでのライブ活動を続けている。他国でのライブ数と比べれば決して多くはないが、これだけ継続的に北米でライブを行っているグループは珍しい。さらに初期には現在よりも欧米のティーン向け音楽と相性の良いHIPHOPジャンルの曲が多かったため、デビュー直後からすでに欧米圏のK-POPファンからの注目度が高かった。その時期に地道に欧米でのライブを行った下地は大きいのではなかろうか。

 AMAでのライブや有名トーク番組への出演により、今BTSは一般層への認知も広がりつつある。しかし、2018年からはビルボードの集計基準からYouTubeやSportifyなど音源ポータルの無料プランでのストリーミングを除外することが発表されており、トロントの人気ラジオ局が企画したK-POP特集番組が、BTS以外の曲を流すなというファンドムの抗議により中止になるなど、一部過激な欧米圏ファンによる問題行動もニュースになってきている。このような環境の変化の中で、2018年はどのような動きが見られるのか、新たな欧米でのK-POP像を体現する存在として、今後もBTSの活躍から目が離せなさそうだ。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
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