テクノロジーはエンタテインメント体験をどう拡張する? 『LIVE HACKASONG』レポート

 もう一つライブ演出の新たな可能性を示したのが、Beat Spaceが提案したPC内蔵型ヘッドマウントディスプレイ・Microsoft HoloLensを活用するアイデアだ。MR(複合現実)デバイスであるMicrosoft Hololensを装着すると、現実空間に仮想オブジェクトが出現する。これをライブと組み合わせ、アーティストの立ち位置や歌詞に合わせた演出や、「Yeah!」などの合いの手をHoloLensに表示させる。

 イベントでは、仮谷せいらのライブで実際に披露された。初のバンドセットでのパフォーマンスで芯のある歌声を披露する仮谷と呼応するかのように、Microsoft Hololens上に煌びやかな演出が映されていた。現実世界を華やかに彩り、近未来感を生むMR。現状ではHoloLensを装着して長時間ライブを楽しむのは重量などの面で難しそうだが、一部の演出で使用するのは十分可能だろう。審査員の案納俊昭氏((株)スペースシャワーネットワーク 取締役兼執行役員コーポレート本部長)は、今後について「(MRを使った)空間演出アーティストも多く出てくるのでは」と予想。MRを使ったライブ演出によって、アーティストが表現の幅も大きく広がっていきそうだ。

 ジェイ氏はイベントについて「ハイレベルだった」と振り返っていたが、今回のハッカソンでは普段ライブに足を運んでいる参加者たちならではの“ユーザー目線”を生かしながらも、ビジネスとしても実現性の高いアイデアが目立った。仮谷が「いつかああいう技術を使ったライブをやりたい」と語っていたが、実用化はそう遠くないかもしれない。

(文=村上夏菜)

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