2018年、ストリーミングサービスは国内で本格普及するか? 海外との違いや具体例をもとに考察

 2018年1月にSpotifyの有料会員数が全世界で7000万人を突破した。また公式に否定されたものの、Appleによる音楽ダウンロード販売サービスが2019年までに終了すると報道があったことからも、サブスクリプションサービスが音楽聴取の主流となる傾向は強まっていることがわかるだろう(参考:Digital Music News)。そこで今回、海外の動向にも詳しいジェイ・コウガミ氏に2018年のストリーミングサービスについて話を聞いた。

 ジェイ氏はまず、日本国内と海外の動向の違いについて以下のように教えてくれた。

「ストリーミングサービスが主流になる一方、アナログなものとしてCDは生き残るため、ダウンロードが最初に減少していくという音楽市場の動きが世界では一般的です。しかし、日本ではストリーミングの普及が遅れている上、CDもまだまだ現役。いまだにiTunesなどでの配信限定リリースも見られるなど、この傾向に必ずしも当てはまらないのかもしれません」

 最近ではスマートスピーカーとの連携も注目されているストリーミングサービスだが、日本国内では特にライトなリスナーにおいては、YouTubeを利用するユーザーが多いのではないだろうか。ジェイ氏は、フリーミアムプランのあるSpotify、月額会員のみのGoogle Play MusicやApple Music、プライム・ビデオなど他のサービス利用も含むAmazonプライム会員のAmazon Music Unlimitedなど、それぞれのサービスで課金の仕組みが異なることがユーザーに使いづらさを感じさせている理由の一つでは、と予測した。続けてジェイ氏は、2018年、国内ストリーミングサービスにブレイクスルーを起こすために必要なことを次のように指摘する。

「国内ではストリーミングサービスから、有名なミュージシャンや新人アーティストのヒットはまだ出ていないのが現状です。過去“着うたの女王”と呼ばれた西野カナさんや『MUSIC VIDEO』のMVをYouTubeにアップして話題を集めた岡崎体育さんのように、“ストリーミングでヒットを生んだ”アーティストが登場すれば、状況が変わってくると思います」

 では、ストリーミングサービスからヒットを生み出すためには、具体的にどのようなことを行うことが効果的なのだろうか。

「Apple Musicにバナーを出したり、ソーシャルでバズを作るためにSpotifyと組むなど、ヒットを生むには相性の良いサービスとコラボすることが大切であり、ファンとアーティスト本人、レーベルからの後押しが不可欠。国内では『CDの売上枚数が多いアーティスト=人気』というイメージがまだまだ強いですが、『ストリーミングで多く再生されているアーティスト=人気』という図式ももっと一般的になれば、アイドルなどフィジカルに強いアーティスト以外にも新人に注目が集まるようになるのではないでしょうか」

 ストリーミングサービスからヒット曲が登場し、国内音楽シーンの新たな時代を築けるのか。2018年、各アーティストが大きな動きを見せてくれることを待ちたい。

(文=村上夏菜)

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