『第7回 AKB48紅白対抗歌合戦』評価すべき点は? メンバーたちの歌唱に見た“本気”

 TOKYO DOME CITY HALLで12月10日、『第7回 AKB48紅白対抗歌合戦』が行われた。通称『AKB紅白』と呼ばれる年末恒例のこのイベントは、例年各48グループより選出された紅・白の混合チームで開催される。今年は、横山由依が率いる紅組は東日本のAKB48、SKE48、NGT48、山本彩が率いる白組は西日本のNMB48、HKT48、STU48と分けられた。

AKB48公式サイト|「第7回AKB48紅白対抗歌合戦」特設サイトより

 この日の公演にはモーニング娘。’17が指原莉乃と「サシニング娘。」としてライブでは初の共演を果たし、新潟からはNegicco、名古屋からはチームしゃちほこ、大阪はたこやきレインボーが登場し、各地方拠点のグループとコラボ。他にも稲垣潤一、イルカ、押尾コータロー、榊いずみなど、幅広いゲストアーティストがライブに華を添えた。このようなゲストコラボが実現したのは、『FNS歌謡祭』や『僕らの音楽』、『堂本兄弟』などの音楽番組を手がけてきたきくちPこときくち伸氏が演出を担当したことによる。9月25日に演出の依頼を受け、36人のメンバーとの綿密な面談の末に、今回の開催があったことをきくちPは自身のTwitterで沢山の裏話の中の一つとして明かしている。全43曲、4時間余りにも及ぶ公演は、きくちPが演出する番組に倣い、バンドによる生演奏、生歌で展開された。ライブのエンドトークで、審査員席に座っていたミッツ・マングローブは、「あんた達、生もいけんじゃない!」と愛を込めて総評していたが、その言葉が示すように今回の『AKB紅白』は、AKB48グループを再評価する一つの指標となったように感じる。

 筆者も、今回の公演をライブビューイングで観ていた一人。946席を誇るTOHOシネマズ 日劇が、入場時には「△」が表示されていたのを記憶している。17時半からスタートした本公演も終演時には時計の針は22時を指そうとしており、画面越しに観ていたこちらもクタクタになっていた。すでに報道されているように、様々なコラボが今回の目玉であるのには違いないが、生歌による手に汗握るような緊張感は、正直AKB48劇場でメンバーを目の前にしていても味わえないような、感情高ぶるものがあった。例えば、白間美瑠は押尾コータローの弾き語りに乗せて、THE BLUE HEARTS「チェインギャング」を歌ったのだが、途中で歌詞を間違え詰まる場面があった。スクリーンには、歌詞が表示されているので、全員がその間違えに気づく。しかし、間違えてからの白間の歌唱には、悔しさからくる気迫が込もった力強さがあった。ミュージカル『レ・ミゼラブル』の中でも難しいと言われる「On My Own」に挑んだ宮脇咲良は、歌の世界観に完全に入り込んでおり、この日までにかけた練習量を想像させた(HKT48のTwitterではパフォーマンス後の宮脇の姿が映されている)。

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