uchuu,が“最先端ハイブリッド型ライブ”で示すものとは？ 映像の新規性とサウンドの変化から考察
サウンドの変化
では、uchuu,はなぜ今このような新たな表現に向かっているのだろうか。その理由として、これまで以上にダンスミュージックに接近したEP『KEEP ON』の存在があることは間違いない。本作のリリースを迎えるまでに起こったバンドの様々な変化について、K（Vo）に話を聞くことができた。
「ダンスミュージックを取り入れたのは、必然という感覚はあります。DAWやDTM機材、テクノロジーの進化で、誰でも簡単に音楽が楽しめるようになり、作れるようになった。これって素晴らしいことだと思うんです。一方で、良くも悪くも『なんとなく』音楽が作れてしまうんですよ。それに電子機器はバンドのように肉体的に音の長さを調整できないので、Daft PunkやJusticeのような丁寧で、聴く人に優しい愛のあるサウンドが少ない気もして。だからこそ僕らは、血の通ったダンスミュージックを届けたいなと思います」
Kが語るとおり、まさに彼らの音楽には“血が通ったダンスミュージック”という表現がしっくりくる。Kは今作『KEEP ON』収録曲について以下のように話してくれた。
「例えば今作の「Keep on living in my music,」ではどんな楽器でも人がプレイすることで血が通い、生きているサウンドになると思うので、全ての楽器を人が演奏しています。機材も出来るだけサンプルを再生するデジタルシンセサイザーではなく、VCOで生きているシンセサイザーを使いました。また、「over myself」は当初、ギターリフがループするようなバンドサウンドで制作していましたが、今の4人がライブで再現し一番かっこいいと思えるアレンジに再構築したんです。結果としてギターではなく、エレピサウンドをチョイスしました」
今作では他にも、K自身、ライブで観客のクラップを聞いて感動した経験から「アーティストとフロアのみんなで創る曲になれば」という思いを込めた「未来都市」にクラップを取り入れたり、「メンバーも出来るだけデモの空気感を大事にしてくれた」という「am2:35」のサウンドではアコースティックにこだわっていることからも、彼らにとって自らの音楽をライブで届けることは必要不可欠だと分かるだろう。だからこそ『未来都市-mirai city-the3″r”d』のような歌の世界を視覚的なインパクトをもって届けることができるライブ表現という発想にもつながっていったのではないか。
また、新体制となって初めての作品であることも、バンドが新たな表現に積極的に向かっている一つの要因であるように思う。『KEEP ON』には1stアルバム『Weltraum;Gate』にも収録されていた「TimeLINE」を新たなアレンジで収めている。メンバーチェンジを経て、“今”のuchuu,が表現するサウンドとして生まれ変わった。
「やっとスタートラインに立った気持ちです。『KEEP ON』でuchuu,のオリジナルがようやく完成したかなと。ここから、僕らの音楽でどこまで飛べるのか、uchuu,を好きでいてくれる人達とどこまで歩んでいけるか、素晴らしい世界を仲間たちと一緒に創っていきたいです」（K）
今作のテーマには、“Crossover Music Creators”が掲げられている。この言葉には、異なる音楽的バックグラウンドについてメンバー同士が敬意を持ち（＝Crossover）、ジャンルの境目を理解して自らのフィールドに戻ってくるのがuchuu,の音楽（＝Music）を創る人達（＝Creators）だという思いがこめられている。サウンドのみならず、テクノロジーとのコラボなど常に新たな挑戦を続ける彼らの最新作。初回限定盤に収録されている映像も含め、ぜひ一つの作品として楽しんでほしい。
（文＝村上夏菜）
■リリース情報
uchuu,
1st E.P. 『KEEP ON』
発売：2017年9月6日（水）
価格：初回限定盤【CD+DVD】￥2,160（税込）
通常盤【CD】¥1,500（税込）
＜CD収録曲＞
M1.Keep on living in my music,
M2.over myself
M3.未来都市
M4.am 2:35
M5.TimeLINE
＜DVD収録内容＞
未来都市-mirai city-the3″r”d at dmm vr theater live dvd
M1.secretspace
M2.HELLO
M3.夜間飛行
M4.SI(G)N SEKAI
M5.未来都市
2nd E.P.『タイトル未定』
発売：2017年12月6日（水）
価格：￥1,500（税込）
■ツアー情報
『uchuu,1st e.p. release tour 2017「KEEP ON」』
9月15日（金）名古屋 APOLLO BASE
9月22日（金）広島セカンド・クラッチ
10月19日（木）仙台 MACANA
10月31日（火）岡山 CRAZY MAMA 2nd room
11月1日（水）福岡 graf
12月2日（土）代官山UNIT ※ワンマン公演
12月10日（日）心斎橋Music Club JANUS ※ワンマン公演
■関連リンク
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