暁月凛×妄想キャリブレーション 『マモリツナグ』『桜色ダイアリー』リリース記念対談
暁月凛×妄想キャリブレーションが語る、アニソンへの愛と憧れ「自由に表現できる特殊なジャンル」
雨宮「「青春プロローグ」は“選ばれなかった”曲」
ーー妄キャリは2ndシングル表題曲「アンバランスアンブレラ」から作詞に取り組んでいますが、アニメのタイアップということで普段との違いはありましたか?
胡桃沢:いつもは音にあわせて歌詞を考えていきます。でも、今回は沢井さんとの打ち合わせで作品の背景やキャラの心理状態を話し合い、そこから締め切りのギリギリまで作品のイメージに合うキーワードを書き出しました。私たちが出したキーワードをもとに、沢井さんが素敵な歌詞に整えてくれたんですよ。
ーーカップリングの「青春プロローグ」は、<正規ルート>や<ゲーム>など、より原作に近いキーワードが並んでいた印象です。
雨宮:この曲も、元々『冴えカノ』エンディングの最終候補曲だったんです。なので、歌詞も『冴えカノ』を意識した楽曲になっています。最終的に決まったのは「桜色ダイアリー」でしたが、“選ばれなかった”曲というところに、私は愛着が湧いていて、何よりもとても良い曲だったのでカップリングに入れさせて頂くことになりました。
胡桃沢:「青春プロローグ」の歌詞には、沢井さんから妄キャリへのメッセージも、強く込められています。「青春の中にいるみんなは、青春を体験していることに気付かないかもしれない。でも、振り返った時にこれが青春だったことに気付くから、今を大事にしてね」っていうメッセージ。もちろん『冴えカノ』を意識している部分もあって。一緒に過ごす中で、名前をあだ名で呼び合ったり、お互いの好きなものを教え合うこともあると思います。そうやって徐々に変化していく人間関係や、少しずつ近づいていく距離感を表現しました。
暁月「前作よりもポジティブな表現に挑戦できた」
ーー一方、暁月さんの『マモリツナグ』のカップリング「Eternal Land」は、従来の暁月さんらしさが出ていると感じました。
暁月:私の心をそのまま映し出したような曲です。私がイメージしている最も美しいアニメ的な美的感覚が、「Eternal Land」では表現されています。私は普段から妄想するのが好きで、今回の楽曲はネバーランドのような場所に住む妖精をイメージしました。忘れられると死んでしまう妖精が、消えてしまうまでの物語。妄キャリさんの楽曲とは対照的ですね。
ーーアーティストの持つ本来のイメージから少し外れて、様々なことに挑戦できるのもアニソンを歌う醍醐味だと思います。
暁月:「マモリツナグ」では、前作よりもポジティブな表現に挑戦できたと思います。今までは“闇”に寄った気持ちを歌うことが多かったので、「マモリツナグ」のメロディを初めて聴いた時も「まぶしい!」と感じました。『銀の墓守り』も、絶望から希望へと向かっていくストーリーなので、私にとっては明るいアニメという印象で。何かを守るために一生懸命戦うように、誰かを守ろうとする意思を歌で表現することが、この曲のポイントでした。
桜野:私たちも“可愛さ”や“まぶしさ”をストレートに表現するのは初めてです。前作の「激ヤバ∞ボッカーン!!」(読売テレビ・日本テレビ系TVアニメ『タイムボカン24』エンディングテーマ)では悪役の気持ちを歌っていたので、私たちで本当に大丈夫かなっていう不安もありましたし、妄キャリが歌う意味も考えました。でも、オタクっぽい要素やゲーム用語はメンバーの個性でもあるので、作品に寄り添いながらも、妄キャリの強みも発揮できました。あと「桜色ダイアリー」は、沢井さんが歌っていた「カラフル。」(『冴えカノ』第1期エンディングテーマ)の続きのストーリーとなっていて、“成長”がテーマになっています。今回の制作では、私たち自身もたくさん成長できたので、そういう部分もリンクしていると思います。
胡桃沢:あと、今回はMVの制作にも関わらせていただきました。最初に4つくらい案を出していただいて、そこから絵コンテや演出を各メンバーが考えて形にしていきました。
星野:インディーズ時代から私たちのMVを撮っていただいている監督と、初めて一緒に制作することができました。MVはデートをモチーフにしているので、自分たちの理想のデートを出し合って、それがMVに使われています。自分たちが納得した上で、自信を持ってファンに作品を届けられる環境があるのは、すごくありがたいことだと思います。
ーー水城さんは、アニメのタイアップ等でグループの可能性が拡張されていくことについてどう思いますか?
水城:メジャーデビュー後は様々なジャンルの曲に挑戦させていただいているので、ファンのみなさんの期待をいい意味で裏切るのが楽しくなっています。自分たちで考える作詞や振り付け、メンバーが持つ個性的な歌声によって、たとえ妄キャリのイメージとはかけ離れた楽曲でも、私たちのものにできる自信がついてきました。様々なことに挑戦できたおかげでアーティストとしての引き出しも増えてきたから、新しい楽曲への挑戦はプラスにしか捉えてないです。