X JAPAN、『SONGS』で見せた“無限の可能性” 結成35年経た今も続くバンドの挑戦
「既成概念をぶっ壊したい」。結成35年を迎えるX JAPANのYOSHIKI(Dr)が力強く語る姿が印象的だった、3月2日放送の『SONGS』(NHK総合)。
HIDE(G)やTAIJI(B)の死、解散、ToshI(V)の洗脳、海外進出への挫折……数々の苦難を乗り越えたカリスマバンドは、華やかなイメージと相まってどこか浮世離れしているような印象がある。しかし本日3月3日から公開されるドキュメンタリー映画『WE ARE X』について、番組内でYOSHIKIは「必ずしもかっこいいシーンばかりではない」と明かし、「僕らだからこそ心に悩みを持っている人を救えるんじゃないか」と語った。実際、一部公開された映画の映像では、ToshIが「スターになっても全然幸せにはなれませんでした」と語るなど、X JAPANのメンバーたちがステージを降りて悩み苦しむ、1人の人間としての姿が映されていた。ミステリアスな雰囲気で人気を獲得するだけのバンドではなく、全てを赤裸々にさらけ出すことでさらなる共感を得るーーそんなバンドになりつつあるのかもしれない。
しかし一方で、現地時間3月4日に開催されるロンドン・ウェンブリー・アリーナ公演に向けたリハーサルでは、楽しそうに演奏しながらも「セットリスト、そろそろないとまずくない?」と驚きの会話も。YOSHIKIが「いつもそんな感じです」と笑い、自信をのぞかせる姿にはスターらしい風格を感じた。昨年3月、ロンドン公演を前にPATA(G)が倒れたことを振り返り「どうでもいいから生きててほしい。これ以上メンバーを失いたくない」と語ったYOSHIKIの言葉からもわかるように、バンドメンバーがいるからこそ彼らは強くいられるのだろう。
さらに番組では海外への挑戦について、YOSHIKIはこう語った。「普通に考えてこの年齢から世界に対してブレイクするなんて考えられない。そのすべての既成概念をぶっ壊してやりたい。『X』というバンド(名)の意味ですよね。“無限の可能性”」。一時期は音楽をやめようと考えたほど悩み、苦しんだ過去を乗り越えてきた、説得力のある言葉だ。決して無謀な挑戦だとは思えなかった。